買えるのはあくまでも余剰分
これまで述べてきたように、人口の爆発、資源の逼迫、国際情勢の変化など、これから先の10年は過去の10年とは比べ物にならないほど社会や生活が変わるでしょう。これまでの日本には、食料や資源などを「お金を出せば他国からいくらでも買える」と考える風潮が少なからずありました。しかし、日本のために生産する義務を負う国などどこにもありません。買えるのはあくまでも余剰分であり、供給が逼迫すれば自国を最優先するのは当然です。今後もこれまでと同じように「お金さえ出せば」と考える方が無理があります。
当たり前のことですが、大気、水、地下資源などあらゆるものは有限です。これらは人類共通の貴重な財産であり、それを使うには責任が伴うのです。資源の浪費は、将来にわたって社会全体に大きなマイナスを与えることになります。「どう使っても、どう処分してもいい」という権利など誰にもありません。持続可能な循環型社会の形成に向けて、ビジネスやライフスタイルの根本的な見直しが求められるでしょう。
これまでの延長線上に未来はありません。今すでに、サスティナビリティをテーマとする「新しい時代の波」が見えてきています。成熟期を過ぎ右肩下がりを描いている波から、まるで“飛び石”を渡るかのように、上昇しつつある新しい波へと飛び移っていくしかないのです。これまでのやり方に固執したり、飛び移るタイミングを逃したりすれば、新しい波に乗ることができないまま沈んでいってしまうでしょう。
これからは、特定の技術や業界だけを見ていても将来は見えてきません。様々な業界を「横串」で捉え、ビジネスを「全体」で考えていく発想が必須になるでしょう。先を読むことが今ほど重要な時代はありません。一度立ち止まって、中長期的かつ広い視野でビジネスを見渡すことで、潜在的なリスクや新たなチャンスが見つかると筆者は確信しています。
アクアビット 代表取締役 チーフ・ビジネスプランナー