図1●携帯電話機の世界需要予測(2008年度実績,2009年度〜2014年度予測)。出所:ミック経済研究所,(2010年3月)。
図1●携帯電話機の世界需要予測(2008年度実績,2009年度〜2014年度予測)。出所:ミック経済研究所,(2010年3月)。
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 2014年度に,世界で購入される4台に1台がスマートフォン*1になる。ミック経済研究所が北米,中国,韓国,日本,その他アジア,欧州,南米その他の7地域に分けて調査分析した結果,2014年度(2014年4月~2015年3月)に世界のスマートフォン需要は,2008年度比3.4倍の4億4823万1000台(図1)。これは携帯電話機需要全体の25.7%に当たる。

*1 ここでは「Symbian OS」,「Windows Mobile」,「Android」などの汎用OSを搭載した携帯電話機のこと。

2014年度に中国市場は5400万台

 世界の携帯電話機需要は2009年度に対前年度比1.7%減の11億5864万6000台と足踏みしたものの,2010年度には同8.8%増の12億6019万6000台と好転する。その後も年率8%増前後の成長が続き,2014年度には17億4275万4000台に達する。

 好調な携帯電話機市場以上にスマートフォン需要は伸び,その構成比が高まる見通しだ。特に2009年度は携帯電話機全体がマイナス成長だったのに対して,スマートフォンは同35.8%増の1億8082万3000台と大きく伸びる。2010年度以降も二桁成長が続き,携帯電話機全体に占める構成比は2014年度には25.7%に達する。

 スマートフォン需要が拡大する要因として,ミック経済研究所は,2009年度と2010年度以降の二段階に分けて分析している。2009年度は,パソコン並みの高機能とアプリケーション・ストアが個人需要に火をつけ,スマートフォン市場が拡大した。

 2010年度以降は,中国など新興国で需要が増えそうだ。特に中国では,「Android」プラットフォームをベースに中国移動(チャイナモバイル)が独自OS「Open Mobile System(OMS)」を開発した。中国政府が,OMSを搭載したスマートフォン「Ophone」をバックアップしている。ミック経済研究所では,中国のスマートフォン需要が2014年度に5400万台に達すると予測した。

 また,米Google社や米Microsoft社などOSメーカーに加えて,韓国サムスン電子など携帯電話機メーカーがOSを開発するなど,OS規格争いが激化している。競争が激しくなれば,スマートフォンのコスト・パフォーマンスが向上し,スマートフォン需要につながるとミック経済研究所では見ている。