台湾メーカーのスマートフォン戦略,AndroidでもFoxconn優位が続く
米Apple社が2009年の半ばに発売した「iPhone 3GS」は,ソフトもハード仕様も「iPhone 3G」とあまり変わらないが,2009年7〜9月期(米Apple社の会計年度では第4四半期に該当)において740万台の販売台数を記録した。特に,米国の通信事業者A&T社において,同四半期のiPhoneの新規加入者が320万に上るなど,Apple社のブランド力が先代iPhoneを購入しなかったユーザーの需要を喚起できることを裏付けている。
年末商戦に臨んでApple社は1地域当たり1事業者にiPhoneの独占販売をさせるという従来の戦略を変更し,複数の通信事業者と提携する方向へ転換した。これによってスマートフォン市場におけるApple社のシェアはこれからも拡大すると予想される。当然,Apple社の販売実績によって影響を受ける台湾のスマートフォン産業も,恩恵に浴するだろう。
これまでのiPodの新機種発表から類推すると,2010年に登場する第4世代iPhoneは,ハード面の仕様をこれまでとは大きく変えてくることが予想される。画面表現力強化以外に,W-CDMAとCDMA2000を両方搭載したものとなり,Apple社ブランドは,世界各国市場の隅々へ浸透していくだろう。
2010年はAndroidプラットフォームが激戦場に
Apple社のほか,2009年スマートフォン産業におけるもう一つのホットな話題は「Android」プラットフォーム対応機である。韓国サムスン電子,韓国LG Electronics社,米Motorola社,英Sony Ericsson Mobile Communications社,台湾HTC社などのブランド・メーカーをはじめ,台湾のOEMシステム・メーカーも早くから戦いの準備に余念がない。中でも,FIH社(富士康)が最も積極的で,中国Lenovo社(聯想),米Dell社,Sony Ericsson社などの受注を獲得しているほか,中国企業が自社ブランドで販売するためのノン・ブランド機種を供給する余裕もある。一方,従来から台湾メーカーと密接な提携関係にあるMotorola社が発売したAndroid2機種「CLIQ」「Droid」がいずれも高く評価されたため,2010年には台湾メーカーにOEM生産の依頼が始まるだろう。
Androidをプラットフォームとしたスマートフォンの市場は,今や百家争鳴の様相を呈しているが,それを勝ち抜く鍵となるのは,当然のことながら,消費者が関心を持つ要素について差別化を図ることである。例えば,ユーザビリティーを訴求するHTC社の「Sense」,すべてのサービスを統合するSony Ericsson社の「Nexus」,コミュニティー応用を強調するMotorola社の「MotoBlur」,Acer社の「Liquid」など,ユーザー・インタフェースの改善だ。この流れは今後も続くだろう。
OEMメーカーについて見ると,現在,台湾最大のスマートフォン・システム・メーカーはFoxconn社(鴻海)である。同社にとって最も重要な課題は,Quanta社(広達)と中国のBYD社が虎視たんたんとチャンスをうかがっている中,引き続きApple社から受注を獲得し続けられるか否かということである。また,Foxconn社は2009年にAndroidプラットフォームの研究開発に潤沢なリソースを投入したが,これは2010年に実ると思われる。特に,Androidプラットフォーム製品を展開する意欲を見せる多くのブランド・メーカーにとって,今後,Foxconn社に発注し,製品の設計・生産を依頼すれば,コストの節約につながる。華宝などほかのメーカーにとっては,Androidプラットフォーム製品の開発における質と量がFoxconn社と競争できるものでなければ,将来の見通しは厳しくなるだろう。
全体的に見れば,2010年における台湾のスマートフォン産業は依然としてHTC社とFoxconn社の二強が占める。また,Acer社やASUSTeK Computer社などの一部のパソコン・メーカーが積極的にスマートフォン製品の開発に参入している。
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