“無料より高いものはない”,のか?
フリービジネスが示す「真のIT産業」とは
最近、ちまたで話題の『フリー』(NHK出版)という本を読んだ。筆者は、米国のハイテク関連ライフスタイル誌「Wired」の編集長であるChris Anderson氏。350ページの硬い印象のビジネス書だが、2009年11月の翻訳版出版後、ベストセラーになっている。
インターネットの世界では、多くのサービスを無料(フリー)で利用できる。国内でも、ミクシィやグリーのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、多くのサービスが無料で使える。無料サービスは、かなり昔からある。基本的に無料で視聴できるテレビやラジオは代表例だろう。
ものづくりでも“無料”は身近に
『フリー』は、いわゆる“フリービジネス”が「なぜ利用料を無料にできるのか」「その威力や本質はどこにあるのか」を、歴史の流れの中で実例を示しながら解いている。人数限定ではあったが、この本自体も発売前にインターネットで全編を無料で公開し、フリービジネスを地で行く戦略で話題を呼んだ。
ものづくりの世界でも、フリービジネスは無視できなくなりつつある。コンビニエンス・ストアでは価格の安いPB(プライベート・ブランド)商品が溢れ、製造コストを下げるために新興国への生産移転がこれまで以上に進んでいる。
ファッション・ブランド「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が、「ジーンズだって最後にはゼロ円になるんじゃないか」といった趣旨の話をしているのを先日、新聞で読んだ。
携帯電話機は、かなり前から無料で手に入る。その内部で使われている組み込み用ソフトウエアも、LinuxのようなOSに加え、最近はGoogle社のソフトウエア基盤「Android」が登場するなど無料への流れが当たり前になった。
では、ものづくりの世界にフリーはどのような影響を与えるのか。それを考える前に、より親和性の高そうなIT(情報通信)ビジネスのことをまずは整理してみたい。
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