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HOMEものづくりものづくり復活の会計術 > 『どんぶり勘定』のススメ

ものづくり復活の会計術

『どんぶり勘定』のススメ

  • 北山 一真=経営コンサルタント
  • 2010/02/24 12:00
  • 1/3ページ

「原価が見えない。原価の精度を上げろ!」
「原価の精度が悪くて、何も判断がつかない!」

 多くの企業で、良く聞く言葉であり、経営者や原価に携わる人の口癖となって無いだろうか?

『精度が悪い』

 筆者からすると、これほど都合のいい言葉はないと感じる。「分からない」「分析できない」「意思決定できない」こんなことも『精度』という言葉を言い訳に使い、周りも納得し、仕方ないという風潮ができてしまっていないだろうか。では、原価の精度とは何か? 精度が良いとは何か? 悪いとは何か? 少し乱暴な言い方をするが、これは「精度が悪い」という言葉を言い訳にしたマネジメントの放棄でしかないと感じる。今回は、この「精度」という言葉をキーワードに、ものづくり復活のヒントを探っていこうと思う。

会計=計算という誤解

 多くの人の思う「精度が悪い」とは、1個あたりの個別原価の話しを指し、間接費の配賦が精緻でない事を言っている事が多い。要は、直接労務費・設備費・金型費・標準原価差異などの費用が適当に按分されているため、原価に信憑性が無いと言うことである。では、なぜ企業は、製品毎に損益や原価を求めるのだろうか? 90年代のバブル崩壊に端を発する。

 80年代は右肩上がりで、どの企業も儲かっていた。そんな時には原価とか会計とか気にする企業は殆どいなかった。そして、バブルが崩壊。90年代には、儲かっている製品・儲かっていない製品を見極める必要が出てきた。ここで初めて製品別の個別原価を求めるようになったのである。この頃から、多くの企業で、海外のERPパッケージ・会計パッケージの導入が進んだ。その後も、複雑な配賦計算ができる事を売りにした様々なパッケージが競いあい、そのようなコンサルティングが流行った。

 ざっと歴史を振り返ってみた。コトの発端であるバブル崩壊の時は、儲かっている製品を見極める事が目的だったのに、いつの間にか詳細な緻密な計算をすることに主眼がおかれてしまった。ITベンダーやコンサルタントの責任も大きく感じる。

 そんな背景もあり、経営者から「原価を見える化しろ!」「何が問題だ!わかる損益資料を持って来い!」などと指摘されると、原価の精度が悪いからダメなのだ、と安易に考えてしまっている。そして、製造現場がそのターゲットとなってしまい、現場の実績収集の精度を上げたり、現場に無理に実績入力をさせる事になってしまうのである(図1)。なぜこんな発想になってしまうのか?原因を二つ挙げる。

図1:「会計=計算」という誤解
[画像のクリックで拡大表示]

原因(1):“とりあえず”の心
精度は低いより高い方が良いに決まっている。無いよりあった方が良い。誰もがそう思う。だから、粒度・精度を細かくしておけば、後からなんとでもなり、とりあえず細かくしておこうと言う発想になってしまうのである。外部のコンサルタントも、他社事例などを紹介して、目的もなく粒度・精度を追求する提案をするのである。

原因(2):“臭い物に蓋をする”の心
原価を計算するためには、実績収集の仕組みが必要になる。部署により実績収集システムの導入状況かかなり異なってくる。実績収集が一番進んでいるが、製造現場である。逆に研究開発や営業においては、実績収集の仕組みがそれほど進んでいない。本来なら、営業・研究開発・物流などの実績収集・原価計算を強化すべきだが、ベースの実績収集が無いため、臭い物には蓋をして後回しにしている。その代わり、実績収集の仕組みが整っている製造部分に目をやり、必要以上に粒度・精度を求めているのである。

 このような原因から、“原価”という言葉を聞くと、ついつい精度を求めてしまうのである。重要な事は、原価計算をする目的を見失わないことである。繰り返しになるが、計算することが目的ではない。詳細に精緻に原価計算しておけば、見えなかったものが見えるようになり、明るい未来が待っていると言うそんな妄想は早く捨てるべきである。

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