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藤堂安人の「イノベーション雑記帳」

トヨタリコール問題と新興国戦略

  • 藤堂 安人=主任編集委員
  • 2010/02/19 13:00
  • 1/4ページ

 トヨタ自動車のリコール・品質問題が波紋を広げている。米国を中心に、対応の仕方やトップの姿勢に非難が集中している状況だが、一方で筆者が注目したいのは、今後自動車メーカーにとっての有望市場である中国などの新興国市場の戦略を考えるうえで、この問題はどのような影響を及ぼすか、ということである。

 これを二つの観点から考えてみたい。一つは、自動車に対する消費者ニーズや制約条件がどうなるか、という点。もう一つはそうしたニーズや制約条件の変化に対して、自動車メーカーとしてはどのような戦略や考え方で臨めばよいのか、という点である。

 まず、第一の消費者ニーズや制約条件についてだが、結論から言うと、要求は厳しくなりそうだ。より安全で、環境負荷が小さく、低コストで、デザイン性がよく…とこれまでのニーズは変わらず、むしろ安全面では要求がより厳しくなるだろう。パソコンのように部品を外部から買ってきて組み付ければ誰でも簡単に造れるという時代はもう少し先になる可能性がある。

 そのカギを握るのは世界最大の自動車市場となった「中国」の反応である。当サイトの中国語版である技術在線!において、一連のリコール問題記事を翻訳掲載したところ、多くの中国人読者の方々からコメントを頂いた。

 曹編集長によると、トヨタの企業姿勢を感情的に非難するものもかなりあったものの、一方で今回の問題を冷静に分析し、自らの教訓にしようというコメントも少なからずあった。その中から幾つかを翻訳してもらったので紹介したい(一部文意を変えずに表現を修正)。

■(前略)トヨタ社内に「傲慢の企業文化」のようなものが醸成されていることが問題の根本にあるのではないか。特に、同社が自動車販売台数で世界一になったころから、どのサプライヤーもトヨタに対してきちんとものを言えないような雰囲気ができているように思う。例えば、「『在庫ゼロ』と言っても実質的に在庫をサプライヤーに持たせるだだけではないか」と思ったとしても、トヨタにはなかなか意見できない。何か問題が発生した際に誰も本当のことを言えないような企業文化になってしまったことが、問題を複雑にしているのではないだろうか。

■背景には、自動車産業そのものが変質していることがあるのではないだろうか。トヨタに限らず、各自動車メーカーはユーザーに対して安全・安心というよりはマルチメディア化をアピールすることが多くなった。ユーザーにしてもカーナビなどの装備ばかりに目が行き、鋼板の強度や溶接の点数などはアピールポイントにはならなくなったという状況が関係しているではないだろうか。

■中国市場で大規模なリコールを実施したのはトヨタだけだ。このことは同社がいかに品質を重視しているかの表れである。欧州メーカーなども中国でも大量生産しているが、いままで1回も(大規模な)リコールを行なっていない。だからといって欧州メーカーのクルマが果たして本当に品質に優れていると判断できるのか、疑問である。

■トヨタが中国でも(大規模な)リコールするということは、同社が責任感のある企業だということを証明している。残念ながら中国ではまだリコール制度や法規制の整備が十分ではないが、同社の行為は中国にとって良い前例となるだろう。

■個人的見解だが、今回のリコール事件が中国におけるトヨタの評判を落とすことにはならないだろう。むしろ、同社のこれからの発展にはプラスに働くと思う。今後2、3年のトヨタの決算に注目したい。決算データがすべてを語ってくれるはずだ。

■トヨタのリコールをみて、我々の会社もクルマの品質を評価・コントロールすることにいっそう注力し始めたところである。

■中国企業は、今回のリコール問題を教訓としなければならない。正直言って、トヨタ以外の自動車メーカーのクルマには問題がないとは言い切れないと思う。

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