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コラム

「表具」第5話『美の守護者として』

2010/02/18 15:00
文:港さちよ=コピーライター,仲森智博 撮影:宮田昌彦
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図1

 北岡英芳には二人の息子がいる。長男の大幸(ひろゆき)は28歳、中京区の京表具師のもとで修業を始めて6年になる。次男の芳幸は26歳、昨年から修復を主とする表具師の工房で技術を学び始めた。「まあ、うれしいことですけど」と北岡は言う。しかし、不安もある。「息子たちの時代になっても、仕事があるのかどうか」。

 そんな心情を映してか、雨天が続く。京都では、祇園祭の山鉾巡行が過ぎれば本格的な夏が来るという。ところが、それを過ぎても梅雨は明けず、ようやく晴天が続くようになったのは8月に入ろうかというころだった。

 雨が上がるのを首を長くして待っていた。晴れていなければできない仕事がずいぶん溜まっていたからだ。今回の掛軸もそう。総裏打ちを終えて仮張りにかけてからおよそ2カ月、本紙と周囲の裂地(きれじ)は一体化された状態で乾燥の時を過ごした。そしてようやく、仕上げに着手できる時が巡ってきたのである。

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