図1●韓国LEDメーカー大手4社のLED売上高の推移(2008年第1四半期〜2009年第3四半期実績)。出所:大和キャセイ・キャピタル・マーケッツ,(2010年1月)。
図1●韓国LEDメーカー大手4社のLED売上高の推移(2008年第1四半期〜2009年第3四半期実績)。出所:大和キャセイ・キャピタル・マーケッツ,(2010年1月)。
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 LED市場における韓国メーカーの存在感が急速に高まっている(図1)。韓国LED主要4社(Samsung Electro Mechanics社,LG innotek社,Seoul Semiconductor社,Lumens社)の2009年第3四半期のLED部門の売上高は対前年同期比2.3倍,対前期比26%増の4367億ウォンを記録した。同期の台湾LEDパッケージ・メーカー主要9社の売上高は,対前年同期比14%増にとどまったのと比較すると,その躍進振りが際立つ。ノート型パソコン用に加え,テレビ用液晶パネルでもLEDバックライトの採用が進み,液晶テレビで韓国メーカーがシェアを伸ばしていることを受けて,韓国 LEDメーカーが売り上げを伸ばしている。

2010年の能力増強は韓国が大半を占める

 韓国メーカーの中で特に売上高の伸びが目立つのはSamsung Electro Mechanics社だ。対前年同期比約5倍だった。同社はサムスン電子と合弁でSamsung LED社を2009年4月に設立した。出資比率は50%だがSamsung Electro Mechanics社の子会社扱いとなっている。2009年にサムスン電子が本格的に発売したLEDバックライト搭載液晶テレビ(LEDテレビ)向け売り上げが,Samsung LED社の原動力になっている。

 LG innotek社とSeoul Semiconductor社はノート型パソコンのバックライト光源用LEDで売り上げを伸ばしている。LED化が進んでいるノート型パソコン用液晶パネルで,韓国液晶パネル・メーカー(サムスン電子,LG Display社)のシェアが60%を超えており,ノート型パソコン市場の成長がそのままLG innotek社とSeoul Semiconductor社の売り上げ増につながっている。1台当たりのLED使用個数がテレビではノート型パソコンの10倍以上であるため,両社ともにテレビ市場を次のターゲットに定めた。LG innotek社は2009年第3四半期より,Seoul Semiconductor社は2009年第4四半期よりテレビ用の量産を始めた。

 サムスン電子に続いて,LG Electronics社,シャープ,ソニーとテレビメーカー大手が本格的にLEDテレビのビジネスを開始したことで,2010年はLEDテレビの出荷が拡大する見通しだ。大和キャセイ・キャピタル・マーケッツは,世界のLEDテレビ出荷台数を対前年比約10倍の3850万台と予測した。市場の急速な拡大が見込まれることから,韓国LEDメーカーにとって能力増強が急務の課題となった。Samsung LED社とLG innotek社は2010年におよそ100台のMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)装置の納入を計画している模様で,これが実現すれば2010年の世界のLED能力増強分の過半を韓国メーカーが担う計算になる。