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コラム

アルミの鋳造でセル生産方式を導入,複雑形状や高耐圧品にも対応〔内外〕

2010/01/19 12:00
森野 進=日本起業家新聞社
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出典:日経ものづくり,2009年1月号 ,pp.130-132 (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

内外のここがすごい!

アルミ合金を金型鋳造して複雑形状品や高耐圧品を製造する技術。温度管理ユニットやアスピレータ,押し湯切断機なども自社開発する。当社の主力製品の前工程を担う大切なパートナーでもある。

 内外は,アルミニウム合金を鋳造して複雑形状品や高耐圧品を加工している。金型鋳造専門で,手掛けるのは難度の高い鋳造が中心である。自動車用ターボチャージャや燃料噴射ポンプの部品のほか,競艇用エンジン部品なども製造する。主力生産品のターボチャージャでは,同社が元請けとなって後工程の加工会社を選択し,2社連携を行っている。「単に鋳物を造るだけでなく,加工会社と議論を深め,造りやすくて高品質の製品を提供するのがうちのやり方」と,内外社長の齋藤哲夫氏は話す。

金型鋳造工程での作業
金型鋳造工程での作業
中子の設置,鋳造,押し湯・湯口部の切断,仕上げ処理までを一人の作業者がこなすセル生産方式を導入している。

セル生産方式を採用

シェルマシンによる中子の製造
シェルマシンによる中子の製造
ケイ砂と粘結材(熱硬化性樹脂)の混合材を使用し,機械の中で焼き固める。炉内温度は200〜220℃で,一般的な中子の成形炉よりも約100℃低い。
金型温度記録装置
金型温度記録装置
全機械,全ショットの金型温度を記録し,品質向上や納品後の履歴管理に役立てている。

 アルミ合金の鋳造用金型は,鋳鉄や耐熱合金鋼で造る。溶湯を高圧・高速で注入するアルミダイカスト法とは異なり,金型鋳造は圧力をかけずに溶湯にかかる重力で金型に流し込む(重力鋳造)。重力鋳造は,ほかの鋳造法に比べて鋳造時の冷却速度が速く,鋳肌や寸法精度の良い緻密な鋳物が造れるという特徴があるが,金型の温度管理や製品の中空部分を形成するための中子の製造などで,高い技術力が要求される。

 「だからこそやりがいがあるし,うちのような中小企業には向く工法だ」と齋藤氏は言う。実際,内外では鋳造品質の向上のために多くの工夫を凝らしている。セル生産方式を採用するのも,その一つだ。

 多くの金型鋳造会社では,工程ごとの分業体制を採る。鋳造工程であれば,5〜6台の鋳造機をターンテーブルに載せ,作業者一人で担当するのが一般的だ。中子のセットと鋳物の取り出し以外はロボットに委ねる場合もある。作業者は,テーブルが一巡する間に固まった鋳物を次々と取り出し,その後で中子をセットしていく。

 分業は,作業効率だけを考えれば理にかなった方法だ。しかし,この方法は多品種少量生産には適さない。ターンテーブルに配置された金型(鋳造するワークの形)が同じなら鋳造のサイクルタイムも同じだが,ワークが異なるとサイクルタイムも変わってくる。ところが,その場合でも「ターンテーブル方式の会社では,時間のかかるワークにサイクルタイムを合わせざるを得ない」と同社の技術者は指摘する。

 これに対し,同社では一人の作業者が一つの鋳造機を操作し,一つずつのワークに対して最適な鋳造サイクルを決める。作業者は鋳造が終了すると,仕上げ処理などの後処理も行うので,製品に対する愛着もわいてくるという。

 セル生産を採用したのは2003年。当初は中子の製造もセル生産に含める予定だった。中子の材料には,ケイ砂と粘結材(熱硬化性樹脂)の混合材を使用し,シェルマシン(中子成形機)で成形する。しかし,この工程は,熱処理を伴うので作業環境が厳しい。特に夏場は他の工程と合わせて一人の作業者が担当するのは難しいと考え,中子造りはセル生産から分離して専任者を置いている。専任者は,一人当たり3台のシェルマシンを受け持つが,休息時間を多くする作業計画を組んで負担を低減している。

 担当者は異なるが,中子造りとセル生産はあくまでも一体で進める。 一般に,中子造りは鋳造サイクルの半分以下の時間しかかからないため,鋳造機が10台ある鋳造会社であれば,シェルマシンは5台以下の数で足りる。しかし,同社ではシェルマシンと鋳造機を同数ずつ配置し,鋳造のサイクルに合わせて中子を1個ずつ造り上げる。シェルマシンの数を多くしているのは,鋳物の品質を向上させるためだ。

 中子は300〜350℃の型温度で焼成するのが一般的だが,同社ではそれより約100℃も低い200〜220℃で焼成する。その分だけ焼成時間は長くなり,作業効率は低下するが,良質な中子を成形するには,低温でじっくり焼成した方がよい。「手間が掛かる分だけ,コストはやや割高になるが,当社では,そこに価値を認めてくれる顧客とだけ付き合うことにしている」と,齋藤氏の考えは明快だ。

自社開発装置で品質を高める

自社開発の押し湯切断機
自社開発の押し湯切断機
チップソーとモータを直接つなぐなど,構造をシンプルにしてメンテナンスしやすくしている。
内外社長の齋藤哲夫氏
内外社長の齋藤哲夫氏

 内外のもう一つの特徴は,周辺装置の開発能力を持つことである。金型冷却装置をはじめ,発生ガス吸引装置,金型温度記録装置,押し湯切断機など,鋳物の品質向上に必要な装置類を自社で開発している。一つひとつの装置の機能は特に珍しいものではないが,数値データに対するこだわりが見て取れる。

 その代表例が金型温度記録装置だ。すべてのショットの温度情報が克明に記録できる。この装置を開発したのは1996年のことで,もともとはデンソーからの要請がきっかけだった。デンソーがコモンレール式電子制御燃料噴射ポンプを発売する際,内外に対する鋳造品の発注で,金型温度の履歴管理を求めてきたのである。コモンレールは高圧化した燃料を各インジェクタへ均一に供給する機能を持つため,そこに使用する鋳物にも1800〜2000気圧(1気圧=1013hPa)の高耐圧性が要求される。デンソーでは万一のトラブルに備え,ショットごとの管理を内外に要請したのである。発端は取引先への対応だったとはいえ,その後同社ではこの方法を全製造品に適用した。履歴情報が品質向上に生かせることに加え,従業員個々の能力を見るのにも利用できるためである。

 このほか,自社開発のメリットを生かしてユニークな構造を採用したものに押し湯切断機がある。ギアを介さずにチップソーとモータを直接つなぐなど,通常では考えられない構造だが,これによってメンテナンス性が大きく向上しているという。「開発能力を持つことは,金型鋳造会社としての総合力向上に直結する」と齋藤氏。今後も装置開発には力を注ぐ考えだ。

押し湯切断機 鋳造後に鋳物に付いた押し湯や湯口,ゲート部分など不要な部分をチップソーにより切断する装置。押し湯とは,鋳造時に鋳型に余分に注入する溶湯のことで,鋳物の収縮分を補充するためのもの。

内外
所在地:群馬県・榛東村
内外 資本金:9600万円
従業員数:28人
売上高:15億円
主要生産品:自動車向けアルミ合金の金型鋳造部品
得意な技術:複雑形状品,高耐圧品の鋳造
主要な設備:鋳造機,シェルマシン(中子成形機),溶解炉

齋藤哲夫氏がオススメの中小企業

紹介先:日型工業(所在地:埼玉県鳩ヶ谷市)
設計/製造/品質検査など鋳型製作のほぼすべての工程で3次元データを活用し,オフライン測定により手戻りの少ない金型を造る。製品出荷時に形状保証を付与して,顧客の信頼を得ている。

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