中国でスマートフォンの販売が好調だ。2009年11月に米Dell社がスマートフォン市場への参入を正式発表したが,同社が世界で最初の参入地として選んだのも中国市場である。

 米In-Stat社によると,中国のスマートフォン市場は2008年に対前年比30%増と急速に成長した。同社の分析では,市場拡大を推進しているのはモバイル・アプリケーションの中でもGPSやマルチメディアなどの新しい機能だ。中国市場では,携帯電話機の出荷台数に占めるスマートフォンの比率が2007年の12%から2008年は15.3%へと3.3ポイント拡大したと言う。

OSシェア,2008年はSymbianが首位維持

 スマートフォン市場では米Google社の携帯端末用ソフト「Android」の登場により,OSシェアの争奪戦が激しくなっている。In-Stat社によると,2008年はSymbian OSを採用しているフィンランドNokia社がスマートフォンの出荷台数を順調に伸ばし,その一方で,Linuxを搭載したスマートフォンの出荷台数が低下したと言う。その結果,2008年はSymbian OSがトップの地位を維持し,わずかながらシェアを拡大したと報告している。

 しかし,2009年以降はOSのシェアが変動する可能性が高い。中国市場に参入するDell社は2009年11月末から移動通信大手の中国移動(チャイナ・モバイル)向け機種を出荷するが,中国移動は中国最大手の携帯通信事業者であり,世界でも5億という加入者をかかえる規模を持つ。中国移動の影響力は大きく,中国移動の端末が中国市場に広がるのはほぼ確実と見られている。

 中国移動はAndroidをベースにした独自の通信端末プラットフォーム「OPhone」を提唱しており,今回Dell社が発売するスマートフォンは初のOPhone端末となる。iPhoneによく似た手のひらサイズのフルスクリーン端末で,中国では人気のタイプである。このような端末向けに,巨大な加入者をかかえる中国移動がOPhone向けサービスを推進することで,AndroidベースのOSシェアが比較的早い時期に拡大するかもしれない。