11月末に、日立製作所が製造した新幹線がイギリスの鉄道会社に納入されたというニュースが流れた。おりしも11月16日、JR東海が「高速鉄道シンポジウム」(名古屋)の場で世界の鉄道関係者に新幹線の高速運転試験を公開したところだった。そこでは米原-京都間を最高時速332キロで試験運行し、わが国の新幹線の高い技術力を見せつけた。

 このような中、JRの元役員をされていた方とお話する機会もあり、わが国の鉄道技術の国際展開について調査が深まってきたので、この場でご報告したい。

国際的な高速鉄道への需要

 世界では下図のように多数の、大規模な高速鉄道プロジェクトが進行している。おもしろいことに、新興国でも先進国でも多くのプロジェクトが進められているのである。ただ、理由は違う。おおまかな傾向として、新興国は経済成長に由来する大量輸送のニーズに対応するためで、先進国では地球環境問題への対応から高速鉄道プロジェクトを進めるケースが多い。

出典:国土交通省資料
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わが国の新幹線技術の優位性

 世界がにわかに鉄道整備に動き出したいまこそ、わが国が誇る新幹線の、45年にわたるノウハウや技術の蓄積を世界に発信する時にある。その新幹線の特徴は、まず「軽い」ことだ。そのため、CO2排出量を非常に少なくできる。他国の高速鉄道と比べ、地球環境問題への対応という意味では有利なのである。

出典:国土交通省資料
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