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HOMEスキルアップマネジメント藤堂安人の「イノベーション雑記帳」 > 「幸福感」とは何か

  • 藤堂 安人=主任編集委員
  • 2009/12/04 15:30
  • 1/3ページ

 トヨタ生産方式(TPS)を導入しようとして失敗することが多いのは、「現場のやる気が起きないからだ」と豊田エンジニアリング社長の堀切俊雄氏が指摘している(Tech-On!関連記事1)。では、その「やる気」を引き出すにはどうしたらよいのか。そのためには、低い目標を設定して必ず達成できるようにし、そのことによって達成感と「幸福感」を覚えるようにすることが重要だという(Tech-On!関連記事2)。

 製造業の生産現場における改善チームが5S(整理・ 整頓・清掃・清潔・しつけ)の活動を進めるというケースで考えてみよう。5点満点としてそのチームの実力が1.5点だとすれば、最初は2.0点くらいを狙う。重要なのは、少し努力すれば確実に達成できる目標を設定することである。3~6カ月ぐらいで達成可能なレベルが良いという。そして、目標を達成した暁にはそのことを発表する場を作り、上司や周りのチームが褒めることが大切である。褒められることによって、このチームの構成員は「幸福感」を感じて、次の目標に再びチャレンジしようというモチベーションが生まれるという。

 堀切氏はこのときの改善チームの構成員の心の状態を脳科学の知見を使って説明する。人間が達成感を味わったときに「幸福」であると感じるのは、ドーパミンなどの「脳内麻薬」が放出されているからだそうだ。「麻薬」と言っているのは、一度この感覚を味わうともう一度体験したいという習慣性があるからである。チームの構成員は、もう一度「幸福感」を味わいたいと感じ、再びより高い次の目標にチャレンジしようとする。

 つまり、いかに脳内麻薬を出して幸福感を感じるようにもっていくかが方法論としては重要になる。こうした手法は、TPSに限らず、マーケティングや政治や宗教活動などでも注目されているらしい。これはこれで重要なテーマではあるが、筆者が面白いと思ったのは、「脳内麻薬」や「幸福感」は、人間が進化の過程で獲得した特徴だという指摘だ。堀切氏はこう書く。

「古代の人間は,食料を得るために体を動かして餌を探し,行動することでそれを得ていた。この時に,達成感や充実感を味わい,幸福に感じた。こうしたDNAが人間の体に埋め込まれていると筆者は考えている。」

 「幸福」に感じるかどうかは極めて主観的な問題で一筋縄ではいかないテーマであるが、一つの側面として、「快感」または「気持ちがいい」という状態で説明できる。確かに、古代の人間どころか、脊椎動物の時代から、こうした「快」とそれとは反対の「不快」を感じるメカニズムが存在していたことが分かってきている。

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