前回のコラムで、最近流行しているインターネットの口コミ情報を製品企画などに生かす取り組みと、その将来像を紹介した(前回の記事「企業と顧客に横たわる溝」はこちら)。インターネット上に蓄積されたヒトの知恵が商品力の一翼を担う時代になったという話である。

 コラムを読んだ方からTech-On!の中で、こんなコメント*をいただいた。

 「同じ商品を買った人の評判を複数のサイトから自動的に集めてくれる『評判検索』のオプションもGoogleに欲しい気がする。また、企業にとっては、『評判の悪い情報』も早く見つけたい。(マイナスをプラスに変える企業コメント、対策実施等のアクションを早く取れる)そうなると、良い評判より、『悪い評判』の情報が場合によって価値があるかもしれない」

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 さすが、着眼点が鋭い。実は、米Google社は消費者のニーズ計測に使える簡単なツールを無償で提供し始めている。「Google Insights for Search」というサービスだ(同サービスのWebサイトはこちら)。このサービスでは、Google社のネット検索サービスで使われる検索キーワードの利用数が、どのように増えたり減ったりしているかを時系列の推移グラフなどで調べられる。読者コメントにある“評判が分かる”には至っていないが、このツールだけでも結構なことを調査できる。

消費者の反応を可視化するツール

 ネット検索を使うユーザーは当然、強い興味を持っているモノやコトに関連のある言葉で情報を探すことがほとんど。検索キーワードに関連した広告を表示する検索連動型広告が大きなビジネスになった理由は、ここにある。検索結果に関連した広告を表示すれば、その広告をクリックしてくれる可能性が高いからだ。Google社がこの広告手法を核に、創業10年で瞬く間に巨大企業に成長したという事実だけでも、検索キーワードの持つインパクトの大きさが分かるだろう。

 つまり、Google Insightsというサービスで、特定のキーワードについて過去に検索された数の推移を調べると、消費者がその言葉にどの時点にどれだけ反応したかというトレンドが分かる。キーワードを適切に選べば、消費者が何をどのように探しているのかが可視化される。言い換えれば、「消費者がどのようなニーズを持っているのか」が見えてくるということだ。

 例えば,読者の皆さんが開発している商品やサービスの名称とライバル企業の商品名の検索頻度を、Google Insightsで比較してみていただきたい。果たして、結果はどうだろう?

 家庭用ゲーム機について、比較してみよう。対象は、任天堂の据置型ゲーム機「Wii」と、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」、ソニー・コンピュータエンタテインメントの据置型ゲーム機「PlayStation 3(PS3)」である。