政府の回答は?
これに対する回答を抽出すると以下のようになる。
- 利用を促進するためのアプリケーション・ソフトウエアの研究開発を同時に進めており、利用までを視野に入れた取組を推進しているところである。また、完成後の計算機施設の共用促進や研究拠点としての機能の構築に向けた方策の検討も進めている
本当に検討を進めているならば、今回の事業仕分け調査でその検討結果を示すべきだったのではないかと私は思う。
- 同プロジェクトについては、2012年の10ペタフロップス級の演算性能の実現を目指しており、現在、科学技術・学術審議会において、技術的観点等から中間評価が行われているところである
この回答を見ると、10ぺタフロップスの達成が自己目的化しており、しかも説明責任を審議会の中間評価に負わせようとしているようにも聞こえる。
本プロジェクトはどうすべきか?
新聞によると、文科省の担当室長は「これまで専門家の評価を受けながら進めてきたのに。『凍結』の意味が分からない。今年度分の予算の執行や建設工事もやめないといけないのか」と困惑しているという。
事業仕分け会議における文部省のプレゼンテーションの内容にも問題があるという声がある。7月の国会質問であれだけ「突っ込まれ」ているにもかかわらず、また同じことを突っ込まれ、今度も説得力のある回答ができなかったわけだから、まあその通りかもしれない。
ただ、突っ込んだ本人から言わせてもらえば、本プロジェクトがわが国にとって必要ない、と思っているわけではない。いやむしろ、とても必要性が高いと思っている。ただ、やるのであれば、やり方を熟考しなければならない。それを求めているのである。
その点をしつこく突っ込みつつ、このプロジェクトが復活できるように声をあげていきたい。さらに、みなさまのご意見も広くお聞きしたいと思っている。文科省はWebサイト上で現在、皆様からの意見を募集しており、この意見は今後の調整に反映される可能性があるという。
早稲田大学客員教授 参議院議員