商品の機能や特徴を消費者目線で訴求することで、メーカーによる情報発信に比べて商品を身近に感じられ、共感を呼び起こしやすくなる効果がある。「これはいいものです」とメーカー自らが訴えるよりも、消費者が心底良いと語っている生の声を使うことで情報の信頼度が増す。消費者が語る利用シーンが、机上の想定ではなく、“本物”だからだろう。

 実は、ネット上の口コミ活用は、さらに進化を遂げつつある。ここまで紹介した事例は、過去に書かれたブログなどの記事を活用したものに過ぎない。最新の手法では、過去に書かれた口コミではなく、リアルタイムの口コミ活用に発展しつつあるのだ。

 JetBlue Airways社という米国の格安航空会社の話である。ある利用者が「空港のチェックイン・カウンターに担当者がいない」と、Twitterでつぶやいた。すると、即座に同社のTwitterアカウントから「10分後に担当者が向かいます」と返信があったという。

 同社のTwitterチームは自社サービスに関する全世界のTwitter上のつぶやきを常に監視しており、そのチームが利用者の不満を発見した。その後,すぐさま関係者に手配し、それを利用者に伝えたというわけだ。この話は、知人であるループス・コミュニケーションズの斉藤徹社長のブログに詳しい(参考ブログはこちら)。

 これは、先進的な顧客サポートの例としても興味深いが、それだけにとどまらない可能性を秘めた話だと思う。通常の顧客サポートやコールセンターに届くクレームの電話やメールは、あくまで顧客と担当者の1対1での対話に過ぎない。どんなにすばらしい顧客対応をしても、それは他の顧客には見えない。

顧客とのやり取りが丸見えに

 一方、Twitterを活用したコミュニケーションの場合、顧客一人一人との対話は他のすべての顧客にも見えている。JetBlue Airways社の例では、スピード感ある顧客対応をする航空会社という好印象が、同社の多くの顧客にあっという間に広がった可能性があるわけだ。

 ネット通販で中古カメラを販売するフジヤカメラ店は、商品を販売する際の顧客とのやり取り(質問や回答)をTwitter上で始めている。ある顧客との商品購入時のやり取りはリアルタイムに他の多くの顧客に見えており、同じ商品の購入を検討していた顧客が同じ質問をしなくても理解できるようになる。同時に、購入者の喜びの声も不満もリアルタイムに白日の下にさらされ、顧客全体で共有される。

 こうしたリアルタイムの対応に成功すれば、顧客の好感度は格段に上がる。逆に失敗すれば、いい影響は与えないだろう。