この考え方の中で極めて重要なポイントとして挙げられるのが、「キーストーン企業」、すなわちエコシステムの中核になるような「森の大きな木」の必要性です。まさに、企業城下町のイメージですね。この成長の核がないと、思うように「共同体」が発展していかないのです。

 残念ながら、筑波にそれと位置付けられそうな企業はありません。ほかの地域も同じでしょう。なぜなら、わが国の行政はこれまでずっと、ビジネス・エコシステムなどまるで意識しないでサイエンスパークや工業団地を作ってきたわけですから。

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 それを今から変革していかなければなりません。そのとき指標となるのが、ビジネス・エコモデル、すなわち「場の活性化を図りたいと思ったら、まずは中核となる企業を育てていく」ということになるのではないでしょうか。

藤末 健三(ふじすえ けんぞう)
早稲田大学客員教授 参議院議員
1964年熊本県生まれ。86年東京工業大学卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に行政官として入省。95年マサチューセッツ工科大学経営学大学院に留学、96年には同大学院とハーバード大学行政政治学大学院で修士号を取得。99年東京工業大学で学術博士号(Ph.D)を取得し通商産業省を退く。同年東京大学大学院工学系研究科専任講師に就任、2000年から同総合研究機構助教授。04年民主党参議院選挙に比例区で当選する。早稲田大学客員教授。公式ブログはhttp://www.fujisue.net