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HOMEスキルアップCOLLEGE半導体・太陽電池を斬る,和田木レポート > 転職というものを考える

  • 和田木 哲哉=野村證券 金融経済研究所
  • 2009/10/13 10:30
  • 1/2ページ

 前回の記事について,Annexで議論が盛り上がった注)ので,転職についてもう少し書きたい(コメントを下さった皆様,ありがとうございます)。もちろん,人材バンクのウェブ・サイトに行けば,様々な転職論や転職の基礎知識が書いてあると思う。しかし,プロではない私が,中立的な立場から思ったところを書くのも,少しは参考になるのではないかと思った次第である。

注)リンク先を見るには,Annexへのログインが必要です。

人はなぜ,転職するのか

 まず,転職の最も根源的な役割とは何か――。色々な答えがあると思うが,やはり「人材価値の適性評価」ではないだろうか。日系,外資に関係なく,会社に入社した瞬間から,周囲の人達とのしがらみが少しずつ確実に社員に絡んでくる。そして,“同期や先輩との役職のバランス”といった感情的配慮が,その人の能力に対する適正評価を阻害して,“出来る人”ほど昇進昇格や年俸が不当に抑えられてしまう。このしがらみを断ち切り,ゼロベースで本人の能力に見合った処遇の機会を提供するのが転職の効能だと思う。

 人事のしがらみについて,半導体製造装置メーカーに在籍していたある方は,かつて先輩達から以下のような主旨のアドバイスをされた。

「こういう職場で,あまり早く昇進すると周囲の嫉妬を買う。優秀なやつのために新しい部門を立ち上げても,色々な妨害を食らう。だから,大したことはしてやれない」 「早く昇進してもろくなことがない。ゆっくり昇進・昇格した方がいいんだ」

 実力主義という触れ込みの企業だったが,実は,全く実力主義など機能していない職場であった。これが,日本に限らず,組織の限界である。とある方いわく,「その上司は何も間違ったことは言っていないし,赤裸々に色々なことをアドバイスしてくれて,すごく感謝している」とのこと。その上司も苦労し,葛藤し,そういう結論に至ったことは想像に難くない。部下もそのことは分かっていて,恨み節は皆無だった。

 製造業において,人材の流動性が低くて,転職の機会が少ないのは,非常に残念なことである。人材の流動性が高い業界ほど,処遇に対するストレスはたまらない。上司だって,優秀な社員を辞めさせたら責任問題になるから,能力のある部下をいじめて遊ぶことなどできなくなる。

 とあるメーカーの話になるが,辞められないのを分かった上で,気に入らない部下や能力のある部下をいじめているとしか思えないような例を,私も何度か耳にし,目にした。これが証券会社の場合,部門によっては,部下が顧客に転職することが少なからずある。そのため,あまり変なことはできない。

 もっと,人材の流動性が高まり,やる気と能力のある人間の転職が自在にできる社会になれば,さらに人に優しい社会になると思うのだが。

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