ユーザー参加が当たり前になったことで、ネット上では様々な情報がリアルタイムに投稿され、共有されるようになった。投稿されたデータ中には、多くのユーザーの知恵が詰まった貴重な情報が豊富に存在する。ソーシャル・データは社会を映す鏡なのだ。近い将来、こうしたデータから金鉱脈を探すムーブメントが起こるに違いないと考えている。

 ソーシャル・データ・マイニングは、21世紀版のゴールドラッシュとも言える夢のある話だ。ユーザーの知恵を応用する場は、選挙や防災、経済指標の予測などお役立ち分野だけでなく、エンターテインメントなどのお楽しみ分野にも広がる可能性を秘めている。

ゴールドラッシュの時代に何をすべきか

 翻って、1840年代のゴールドラッシュ時代に技術者としてあなたが生きていたら、どういう役割に身を投じただろうか。ザルを手に持って砂金を採ることもできるし、金を採掘する人に道具を売ってもいい。宿を提供したり、鉄道を引いたりもできる。

 21世紀版のゴールドラッシュでも同じように多くの選択肢がある。自分でソーシャル・データの金鉱脈を探すこともできるし、それを探すためのツールを考案することも可能だ。デジタル機器の開発者ならば、ソーシャル・データを活用した新たなサービスを機器に組み込んでもいい。もしかすると、そのサービスに合わせた新たな発想の電子部品が必要になるかもしれない。

 時代の地殻変動が起きる中、自分がどんな役割を担うことが、利益を生み、社会の役に立ち、歴史に名を残すことにつながるか。技術者としての立場や役割を俯瞰して考えてみる必要があるだろう。

 過去を振り返った時によりよい選択ができたはずと悔やむより、自らの知恵を今この時の選択に生かしたい。私たちは、21世紀のリーバイ・ストラウスやヘンリー・ウェルズ、ウィリアム・ファーゴになれるチャンスを手にしているのだから。

参考文献
1)水野貴之,高安美佐子,ブログを用いた景気指数の測定,論文準備中.