カメラ映像機器工業会(CIPA)が発表した2009年7月のデジタル・カメラ(デジカメ)の出荷統計によると,出荷台数は前年同月比3.9%減の786万台となった(PDF形式の発表資料)。国内向けが同9.6%減の73万台,輸出は同3.2%減の713万台である。地域別では,欧州が同14.1%減,北米は同11.7%増,アジアは6.1%増,その他向けは同18.1%減となった。一方,出荷金額は同20.0%減の1222億円である。国内向けは同21.1%減,輸出は同19.9%減となった。出荷台数ベースの成長率が-10%以内に収まったのは,2009年になって初めてである。

デジタル一眼レフはほぼ前年並み水準で推移

 デジタル一眼レフ・カメラの2009年7月の出荷台数は前年同月比4.9%減となった。2009年4月以降は,ほぼ前年同月並の水準で推移している。キヤノン,ニコンから引き続き新製品が出ていることに加えて,変り種として,懐古的なデザインのオリンパスの「ペンE-P1」が発売後1カ月程度高い人気を博し,市場を活性化させた。

 デジタル一眼レフ・カメラの見通しについては,各メーカーも比較的楽観視している。ニコンの2009年4~6月期決算でも,デジタル一眼レフ・カメラおよび交換レンズの営業利益は,期初見通しに対して,当該四半期だけで100億円の上振れとなった。

コンパクトも復調へ

 デジタル・コンパクト・カメラの2009年7月の出荷台数は,前年同月比3.8%減,金額ベースでは同20.6%減となった。出荷台数ベースの増減では,2009年で初めて2ケタのマイナスから脱し,今後の回復に希望をつないだ。各社とも生産調整が一段落したことが背景にあろう。

 2009年4~6月期の決算では,デジカメ・メーカー各社もデジタル・コンパクト・カメラの状況と見通しについては慎重なコメントに終始していたが,ようやく市場に明るさが見え始めてきた。ただし,依然として単価下落のペースは大きく,価格競争は終息したとはいえない。

話題沸騰のコンパクト新製品が続々

 このような市場環境の中,足元では,デジタル・コンパクト・カメラの新製品が相次いで大きな話題を呼んでいる。富士フイルムホールディングスの3Dデジタル・カメラ「FinePix REAL 3D W1」は,ビューワの「FinePix REAL 3D V1」の引き合いが予想を大きく上回ったため,発売を半月ほど延期した。ニコンのプロジェクタ機能付きコンパクト・デジタル・カメラ「COOLPIX S1000pj」も引き合いが多く,発売が当初の計画よりも1カ月半延期となった。

 市場に新たな機能提案をする役割はこれまで,民生機器系のデジカメ・メーカーが担ってきた。ところが,ここへ来て伝統的カメラ・メーカーからも,消費者の高い支持を得られる新製品が出てきたことは意義深い。今後の市場の活性化にも期待がかかる。