Twitterというサービスは、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に似てはいるけれども、140文字という非常にわずかな文字数しか入力できない。この制限を設けたことで、ブログやSNSとはかなり異なる性質を持つサービスになった。

 Twitterの利用者は、とてもささいな感情や思いつきでも、いや、ささいだからこそネット上に投稿し、他の利用者と共有する。きちんと考えをまとめて書き込むブログや、日記を中心に他の利用者と交流するSNSとは、投稿される内容が異なる。これは、最大140文字という制限によって自然に生まれてきたものである。

人間の脳をセンサとして活用

 一般に“つぶやく”とは、小さな声でひとりごとを言うことを指す。よほど近くにいなければ聞こえないものだから、通常、表にはなかなか出てこない。Twitterの登場は、つぶやきという知的活動を、テキスト・データで形式知に変換することを可能にしたと言えるだろう。これにより、これまで人間の思考のみで完結していて,他人に伝えることのなかった活動が,ネット上で共有されるようになった。それも「ほぼリアルタイムに」である。

 これは、違う角度から見ると、人間の脳を一つの優秀なセンサとして活用できるようになったと考えられないだろうか。つまり、地球上に分散した大量の“ヒト・センサ”が感知した情報を、テキスト・データとしてリアルタイムにキャッチできるようになったと考えるのである。

 それでは、ヒト・センサの入力信号をどんな回路でどう処理すると、どういった出力(機能)を実現できるようになるだろうか。ここから先は、読者の皆さんの方が得意な分野かもしれない。普段かかわっている「ものづくり」に発想が近づくからだ。

 冒頭の虹の話に照らし合わせてみよう。人間を日本中に配置された「虹感知センサ」と捉えるのである。定期的にTwitter向けの検索サービスに、「虹」というキーワードで自動で検索要求を投げ、そのキーワードを含む書込みを定期的にモニタリングする。