日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 話の構成が良く,内容が充実していたとしても,話し手の意図が聞き手に伝わらないことは多々あります。なぜなら,コミュニケーションにおいて声の大きさやトーン,話す速度などさまざまな要素が影響しているからです。

 話をより伝わりやすくするポイントを以下に挙げます。ただし,絶対的な“正解”はありません。細かいことにとらわれすぎず,個性を生かして元気良く話を進めることも同じぐらい重要です。

(1)発声練習をする

 気を付ける項目は次の通りです。

  • 声の大きさ
  • 声のトーン
  • 声の高低
  • 話の速度
  • 間の取り方

(2)話に流れを持たせる

 上手な話し方には,“流れ”というものがあります。具体的には,構成を考えるときに以下に配慮します。

  • 話の内容を絞り込む
  • 話の全体像を作る
  • 体系的な構成を考える
  • 構成間の過程を考える

(3)内容に魅力をもたせる

 単に伝えたいことを話すだけでは,聞き手も退屈してしまいます。以下のようなアイデアを採り入れてみます。

  • 聞き手にとって身近な話題や有名人の事例を盛り込む
  • ウイット(場に合った機知に富む話)やユーモア(しゃれっ気)を盛り込む
  • 即興の話を盛り込む

(4)時間配分を工夫する

 聞き手に「長い」あるいは「退屈」などと感じさせない工夫が必要です。

  • 前段/中段/まとめのバランスを取る
  •  例1:前段20%,中段60%,まとめ20%
     例2:前段20%,中段70%,まとめ10%
  • 適度に間を取る
  • 小道具を活用する
  • 話の重点となる部分(山場)を要所に分散させる

 話すことに慣れていない方や,今後話す機会が増えそうな方には,日ごろから十分に準備しておくことをお勧めします。自分が話している様子(音声や映像)を記録し,気になる点を確認しましょう。繰り返し練習することで,レベルは確実に高まります。