日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 ニーズとシーズの関係については諸説ありますが,次のような見方もあると思います。つまり,「新製品」とは,ある時点でのニーズとシーズが交わった結果の産物であるということです。そう考えると,技術者としてやらねばならないことも見えてきます。

 ここでの「ニーズ」は,顧客が要求する商品/部品/材料/資材/システム/組織/体制などの意味で使っています。また「シーズ」は,企業や技術者などが保有している技術/技能/能力などの意味とします。

自分たちの技術をきちんと把握

 冒頭で述べたように,新製品の開発では,ニーズとシーズの交点において検討可能な製品の仕様や,そのために,解決しなければならない課題・問題点を明確にしていきます。それによって,新製品の在るべき姿も見えてきます。

 このとき技術者としては,どれだけ素晴らしい技術/技能/能力を保有していても,それらに自分自身で気づいていなければ,何の意味もありません。自分たちのシーズとして何があるのかきちんと把握しておくことで,新製品で何ができるのかということや,そのために何を新たに修得しなければならないのかが分かるのです。