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DRAMでも本格化するCu配線,高歩留まり・低コストを引っ提げ東京エレクトロンが装置事業に参入

大下 淳一=日経マイクロデバイス
2009/08/24 09:00
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図1:東京エレクトロンが提案するCu配線プロセスの例
図1:東京エレクトロンが提案するCu配線プロセスの例
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図2:東京エレクトロンが提案するプロセス(右)と従来プロセス(左)
図2:東京エレクトロンが提案するプロセス(右)と従来プロセス(左)
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図3:プロセス・コストの試算
図3:プロセス・コストの試算
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図4:TDDBの評価結果
図4:TDDBの評価結果
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 ロジックLSIやフラッシュ・メモリーの高性能化をけん引してきたCu配線が,いよいよDRAMでも主流の技術となる。2009年に量産が本格化した50nm世代を境に,Al配線からCu配線へと本格的に移行する。

 こうした動きを視野に,装置業界大手の東京エレクトロン(TEL)がCu配線向け装置事業への参入を決めた。3X~2Xnm以降の世代に向けたバリヤー/シード層向けCVD装置を,2009年内に市場投入する。既に複数ユーザーによる評価が進んでいる。米Applied Materials, Inc.(AMAT)や米Novellus Systems, Inc.が先行してきたこの分野にTELが参入することで,競争の激化は必至だ。

Ruライナー膜をCVDで成膜

 Cu配線のバリヤー/シード層形成技術については,既存のスパッタを3X~2Xnm以降へ延命する動きがある。ただし,スパッタでは世代が進むほどバリヤー/シード層のオーバーハング(孔の開口部がバリヤー/シード層でふさがれる現象)や厚さの非対称性が顕著となり,Cuを均質に埋め込むことが難しくなる。AMATやNovellusなどのスパッタ・メーカーも技術改良を進めている(日経マイクロデバイス2009年8月号pp.31-38に関連記事,Tech-On!関連記事)が,東京エレクトロンは「技術の大きな流れとしては,より均質な成膜に対応できるCVDやALD(atomic layer deposition)へ移行する」(同社 SPE第2事業本部 枚葉成膜 BU 枚葉成膜部 Interconnectグループ グループリーダーの小田島保志氏)とみて,CVD装置の事業化に踏み切る。ALDについては,現状ではスループットの低さがボトルネックになりやすいと同社はみる。

 TELのCu配線技術は,スパッタとCVDを組み合わせたものであり,スパッタだけを使う従来法に比べてオーバーハングや成膜の非対称性を避けやすい。バリヤー/シード層の膜厚を薄くできるうえに,成膜時の指向性を高めやすいためである(図1)。

 同社が想定する標準プロセスは次のようなものだ。まず,5nm厚程度のバリヤー・メタル(TaやTi系)をスパッタで成膜した後,2nm厚程度のRu(ルテニウム)ライナー膜をCVDで成膜する。続いて,10nm厚程度のCuシード層をスパッタで成膜する(図2)。これらのプロセスを,8チャンバ構成の装置で連続して実施できる。このプロセスにおけるバリヤー・メタル,ライナー膜,シード層の膜厚は合計で20nm弱であり,既存のスパッタ法で必要な40nm前後に比べて半減できる。CVDの前後に使うスパッタに関しても,同社は成膜の指向性を高めてオーバーハングを防ぐための独自技術を導入している。

プロセス・コストでも「既存手法より優位」

 このプロセスではCuシード層は必須ではなく,Ru層上にCuを直接めっきする「ダイレクトめっき」も可能である。Ruは酸化されても比較的高い電導性を保つことと,RuがCuめっき液に溶解しないことによる。ダイレクトめっきを使えば,Cu配線プロセスをさらに簡素化でき,Cuの埋め込み性も一層高めやすい。

 東京エレクトロンが提案するこうしたプロセスは,既存のスパッタ法と比較して「プロセス・コストでも優位」(小田島氏)という。同社の試算によると,スパッタ法と比較したプロセス・コストは,Cuシード層を利用する場合で30%減,ダイレクトめっきを利用した場合で50%減にできるとする(図3)。

 今回の技術で形成するCu配線の性能や信頼性も実証済みとする。配線遅延を決めるRC積や,動作信頼性を決めるTDDB(time dependent dielectric breakdown)を評価した結果,スパッタ法に比べて遜色のない特性が得られたという(図4)。

Ruプリカーサを回収して再利用

 今回の技術は,貴金属であるRuを使うプロセスを前提とするため,東京エレクトロンは「Ruを安定供給できることを装置ユーザーに示す必要がある」(同社 SPE-2事業部 枚葉成膜 BU 枚葉成膜事業企画部 Interconnectグループの信岡利典氏)と踏んでいる。同社はそのための仕組みを田中貴金属工業と共同で開発中である(リリース)。

 これは,CVD装置のチャンバ内で成膜に寄与しなかったRuプリカーサ(前駆体)を回収し,精製して再利用するもの。Ruプリカーサを回収するモジュールを,今回のCVD装置に標準仕様として取り付ける。TELが手掛ける半導体製造装置の中で,原材料を回収して再利用するモジュールを組み込むものは今回が初めてという。

 回収後のRuプリカーサを田中貴金属工業がデバイス・メーカーから引き取り,精製して再利用できるプリカーサに戻す。「回収したRuプリカーサに含まれる異性体や酸化物を取り除く」(田中貴金属工業 技術開発部 化合物開発グループ マーケティングの横尾道弘氏)ことで実現するという。

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