趣旨
「イノベーション」の重要性が叫ばれて久しいものがあります。クリステンセンはイノベーションを、「持続的イノベーション」と「破壊的イノベーション」に分けましたが,今日本で求められるのが,これまでの成功体験としての「持続的イノベーション」ではなく,より本質的な「破壊的イノベーション」です。難しいのは,イノベーションの本質は,レイヤーを変えるようなパラダイムの変換を伴うからです。その際に働く知をマイケル・ポランニーは暗黙知と呼びました。どうしたらそのような暗黙知を鍛え,それが働くような場をつくることができるのでしょうか。その解を示すことは容易ではありませんが,少なくとも異質な技術,領域,ビジネスモデル,考え方・・・などこれまでの延長線上ではないものと出会うことがその一歩であることは間違いないと思います。当コラムでは,暗黙知を刺激するようなイノベーションの話題をとりあげていきたいと考えています。
藤堂安人(とうどう やすと)
日経BP クリーンテック研究所主任研究員
1981年、日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。1982年、日経メディカル記者。1986年1月、日経ニューマテリアル記者。1997年1月、日経メカニカル編集長。2003年1月、電子・機械局長。2004年1月、執行役員。2008年1月、日経BP社編集委員会委員長 兼 電子・機械局主任編集委員。2010年4月、 日経BPクリーンテック研究所主任研究員。