日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。

 今回から,製造業において主に生産現場の生産性向上に利用されているIE(Industrial Engineering,産業工学)について説明していきます。これまで本コラムで紹介してきたVE(価値工学)やブレーンストーミングと同様,IEも製造業の枠を超えて,流通/医療/運輸/通信/アパレルなどさまざまな分野で活用されています。皆さんも,ぜひIEの手法を身に付けて,職場の課題解決に役立ててください。

長い歴史があるIE

 IEには非常に長い歴史があります。
18世紀後半に英国で産業革命が起こり,その時に現在の生産計画,生産工程,機械設備の標準設定,部品標準化などに関する基本的な考え方が生まれました。それが米国に渡った後,1911年にFrederick Taylorが『The Principles of Scientific Management』(邦題:科学的管理法の諸原理)を発表しました。これが,IEの始まりといわれています。

 IEでは,管理水準を高めることで生産性を改善します。大まかな手順を下の図に示しました。システムなど全体にかかわる部分から着手した後,動作などの細部に向けて改善を進めていくのが特徴です。

IEの大まかな手順
IEの大まかな手順
IE編は2回分あります。次回は2009年8月19日の掲載を予定しています。