日経ものづくり編集部からのお知らせ
本コラム著者の笠原隆氏は,2009年8月5日にお亡くなりになりました。本記事は,ご遺族の方の了解を得て掲載するものです。ご冥福をお祈りいたします。

 前回は,移動時間や待ち時間などを有効に活用する方法について説明しました。実は,これらの時間を有効活用できるか否かは,事前の準備にかかっているといっても過言ではありません。そこで今回は,そうした準備のやり方について説明したいと思います。

どこで待ち合わせるか?

 誰かと待ち合わせをする機会というのは仕事でもプライベートでも多いと思います。当然,この時間を有効活用したいものです。そのためには「どこで待ち合わせるか」が重要になります。自分がよく知っている場所の方が待ち時間を活用する上では有利です。その上で,私は最低でも以下に挙げる条件を満たす場所を待ち合わせ場所として指定するようにしています。

  • 雨風をしのげる
  • 冷暖房が効いている
  • 騒音や異臭などがない

 具体的には以下に挙げる場所が有効です。目的や会う人によって使い分けましょう。

〔ホテルのロビー〕

  • 取引先や初対面の人との待ち合わせに向いてます。
  • 商談などの予定がある場合は,そのまま同じホテル内のラウンジを使えば,時間をロスすることもありません。

〔駅前にある喫茶店〕

  • 気楽に会える相手との待ち合わせに向いています。
  • 有名店や大手チェーン店なら,相手にも場所が分かりやすいという利点もあります。
  • ホテルはなくても喫茶店はある駅は多いですので,さまざまな状況で使えます。

 もし土地勘がない場所で待ち合わせとなった場合,その地域に詳しい人に話を聞いたり,インターネットで店の位置や営業時間を調べたりするなどの工夫によって,待ち時間を有効に活用できるようになります。

30分前の原則

 私は,コンサルタントになった時,コンサルタントの心得として「30分前の原則」というものを教えられました。コンサルタントは絶対に遅刻が許されないので,必ず約束した時間の30分前には待機しているというものです。

 遅刻が許されないということは容易に理解できましたが,なぜ「30分前」なのかということを疑問に思い,その根拠を尋ねたところ,「ワンパンク&セーフタイム」という答えが返ってきました。これは,自動車(現場に行くために利用したタクシーなど)が仮にパンクしても,電話で次のタクシーの手配をして十分に間に合う時間が30分だからということでした。私は,この考え方を深く心に刻み込んで,その後のコンサルタント人生に生かしてきました。これまで,本当にどうしようもない事故以外に遅刻をしたことはありません。

道具を常に携帯する

 移動時間や待ち時間を活用するには,道具が必要です。各人の目的に合わせて常に携帯するようにしてください。ちなみに,私は以下の道具を持ち歩いています。

  • 書籍(専門書を含め常に2~3冊)
  • 手帳(スケジュール管理や電話帳)
  • 携帯型音楽プレーヤー(語学練習や癒しの音楽を詰め込んでいます。主に「iPod」などを使っています)
  • メモ用紙や多色の付せん紙(その場で思い付いたアイデアの記録に最適)
  • 多色蛍光ペン(メモ時に色分けするのに良い)
  • ノートパソコン(万が一を考えて,重要情報は削除しておく)
  • 飲料(ミネラルウオーターやお茶)

 必要な道具は各人によって異なると思います。皆さんも時間の有効活用をしていく上で,必要な道具というものが自然と厳選されていくことでしょう。こうした活動を突き詰めていくことで,充実した時を過ごす余裕が生まれるに違いありません。