5年後に本格稼働へ(経済産業省のデータ)
5年後に本格稼働へ(経済産業省のデータ)
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つくばナノテク拠点と連携(経済産業省のデータ)
つくばナノテク拠点と連携(経済産業省のデータ)
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 「JMEC」(仮称)という名のMEMS研究開発コンソーシアムが,経済産業省の主導で始まる。欧州の研究開発コンソーシアムのベルギーIMEC(Interuniversity Microelectronics Center)と同様に,国際的にオープンな産官学共同の研究開発拠点となることを目指す。この設立に向けた検討会がこのほど立ち上がり,2015年度までの本格稼働を予定する。

 JMECは,産業総合研究所,物質材料機構,筑波大学が連携したナノテク関連の研究拠点「つくばナノテク拠点」のうち,MEMS関連プロジェクトの運営母体となる。つくばナノテク拠点は,経済産業省に加え文部科学省が361億円を投じるナノテク/MEMS関連の研究インフラである。このうちMEMS関連に,両省は42億円を投じる。このすべてが2010年初めごろから2011年3月末までに実行される。JMECは,このMEMS関連予算による設備を活用する。名称は,「ジャパンメムス高度化コンソーシアム(Japan MEMS Enhancement Consortium)」の略称である。

 JMECはIMECと同様の産官学による研究コンソーシアムとなる計画だが,その研究開発テーマはIMECとは少し異なる。IMECが半導体・ナノテク・MEMSなどマイクロエレクトロニクス全般をカバーするのに対し,JMECは主にMEMSを対象とする。MEMS分野における先端的研究開発に加え,設計・試作サービス,人材育成に取り組むことを検討していく。

 先端的研究開発では,大学や産総研など公的研究機関が取り組まない応用に近い研究開発分野で,企業単独で進めるにはリスクが大きいテーマに取り組める。開発に成功すれば,ベンチャ企業としてスピンアウトすることも可能である。設計・試作サービスでは,大量生産を前提とする民間のMEMSファウンドリが対処できない少量の試作に対応する。アイデアはあっても試作できないために事業化できないという状況をなくす。ベンチャ企業の事業化を後押しすることになる。デバイス・メーカー,装置・材料メーカー,設計ツール・ベンダー,自動車/ロボット/電機メーカーなどのユーザー,大学,公設試などの参加を見込み,参画企業の意見を取り入れながら具体的な運営手法を固めていく。