「組織は人なり」,東京エレクトロンの躍進は証明する

 組織で一番大切なのは人である。人間の力は偉大であり,社員の潜在能力をいかに引き出してやるかで会社の業績は大きく変わる。

 東京エレクトロンは成功の典型例である。かつては技術力や製造力など水準を下回るレベルでしかなかった企業だが,社員はエネルギーに満ちあふれ,仕事に対して意欲的だった。技術力の不足を,創意工夫,営業力,手厚いサービス・サポートでカバーして,取扱い製品は市場を席巻,大きな利益を上げた。

 同じ業界でも,東京エレクトロンより格段に技術や製造に長けた企業でありながら,利益も出せず,成長もしていない例は枚挙に暇がない。

社員の能力をどうやって引き出すのか

 社員の能力を引き出すにはどういう組織にすれば良いのか。

 職場の雰囲気作りや報酬体系の見直しも重要だが,一つ,見落とされがちなのは「PL(損益計算書)」を背負わせることである。

 300人ほどの大組織に所属していることの弊害は,損益意識が希薄になることである。「自分ひとりくらい無駄使いしても・・・」という気持ちが働くこともあり,コスト意識が働かない。上司がトップ・ダウンで予算を設定して,ルールで押さえつけるのが関の山である。チリも積もれば大変なことになる。