「hatebu」さんはコンピューター、もっと詳しく言えばその上で動くソフトウエアだから、どんな優秀な人間よりも多くのネット記事を閲覧し、眠ることもなく、24時間365日、面白い情報をつぶやき続けてくれる。人間の友人よりも「hatebu」さんの方が、ある面ではうれしい存在と言えるだろう。

 では、コンピューターである「hatebu」さんは、人間を超えて賢い存在なのか。ここでよく考えてほしい。

 そもそも「hatebu」さんが面白い記事を発見できるのは、はてなブックマークのユーザーがネット上の面白い情報をせっせとブックマークしているからだ。それを実現しているのは「人間の脳」である。ユーザーが面白いと判断し、ブックマークするという入力情報がない限り、「hatebu」さんは何も出力できない。

動力源は「人間の脳」

 この仕組みは見方を変えると、多くの「人間の脳」が優秀な「hatebu」さんの“動力源”になっている、とも考えられる。

 再び映画の話で恐縮だが、だいぶ前に大ヒットしたキアヌ・リーブス主演の「マトリックス」というSF映画がある。進化したコンピューターに人類が支配される未来社会を描いた映画だ。ある意味、ターミネーターと似た設定の映画である。

 マトリックスは、アクション・シーンやコンピューター・グラフィックスで話題になることが多いのだが、描く社会背景はとても哲学的で、現代社会で起きつつあることを暗示している。

 核戦争が起きて太陽エネルギーが地上に降り注がなくなったことキッカケに、コンピューターは動力源を確保するため、人間をカプセルに入れ、家畜化する。人間の思考をエネルギーに変換し、コンピューターの動力源にするのだ。