冒頭に登場した謎の人物「resisntance_jp」は、このサービスを活用することで、ターミネーターで描く世界を現実世界に持ち込んだ。映画は「SKYNET」というコンピューター・ネットワーク、つまり“機械”に支配された世界を描いている。「resisntance_jp」をフォローすることで、Twitterユーザーは“抵抗軍”の仲間に入れるのである。

 Twitter上では、「resisntance_jp」から、例えば「ターミネーターがお台場に出現するから偵察してきてほしい」というような指令が下る。指令を読んで、実際に偵察してきたユーザーは、その結果を他のユーザーにTwitterを使って報告する。「resistance_jp」というTwitter上の仮想ユーザーを通じて情報発信することで、消費者に映画の世界と現実世界が一致したような錯覚を楽しませる仕掛けだ。

 要は、映画会社がターミネーター4の先行プロモーションの情報をTwitterユーザーに流すことでイベントなどの集客をし、参加者による感想などの口コミを発生させる。こうした取り組みで、映画上映に向けた盛り上がりを醸成させるのが狙いだろう。

映画の世界と現実が一致する錯覚

 こう説明してしまうと、いかにも宣伝臭がして嫌味に聞こえる。でも、実際はそうでもない。プロモーションと知りながらも、自然に抵抗軍に参加できるのだ。私がこのプロモーションを知ったのも、本当に偶然である。普段通りにTwitterを利用していたら、フォローしている他のユーザーのつぶやきの中に「resistance_jp」に関する投稿が次第に多くなってきた。それがあるしきい値を超えたとき、そのことにふと気が付いた。取り組みを知るプロセスは極めて自然だった。

 もし、これがテレビや新聞、雑誌など既存メディアを使った大々的なプロモーションで、「あなたも抵抗軍の活動に参加してほしい」などと“いかにも”な感じで宣伝されたら、「はぁ?」という感じで逆に引いてしまうに違いない。でも、Twitterというメディアでは不思議なことに、自然な流れで抵抗軍の一員になったつもりになれる。