2009年の液晶テレビの新製品(4月発売分まで)では,「240Hz駆動」,「LED TV」(LED光源のバックライト・ユニットを搭載し液晶テレビ),「インターネットTV」,「ワイヤレス」などが,新たなマーケティング・ポイントとして浮上した。

 このうち最も活発なのは,やはりLED TVだ。トップ・メーカーの韓国Samsung Electronics Co., Ltd.は,従来の液晶テレビとは別に,LED TV担当の事業部を新設し,強力なマーケティング活動を展開している。こうしたSamsungのマーケティング戦略は,一般消費者に対し,「LED TVは従来の製品とは異なる新たなテレビ」として認識させ,プレミアム・イメージを確立することに成功しつつある。

LED TVの本格発売

 LED TVの歴史を振り返ると,2004年にソニーが世界で初めて40型と46型の製品を発売した。これに続いて,2006年にSamsungが40型を製品化した。同社は,2007年に40型,46型,52型,57型,70型の5サイズを発売している。さらに2008年には,韓国LG Electronics Inc.が47型を発売した(図1)。

図1 大手液晶テレビ・メーカーのLED TV
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 ソニーとSamsungは,LED TVのラインアップを継続的に強化し,積極的にこの市場を開拓してきた。2008年下期からはLG ElectronicsもLED TVに参入し,さらにシャープ,パナソニック,日立製作所,オランダRoyal Philips Electronics社などの大手テレビ・メーカーも2009年にラインアップを整えると見られている。また,特定地域で強みを発揮している一部のブランドも普及価格帯でのLED TVの投入を計画している。例えば,米Vizio, Inc.は先日,LED TVの発売を発表した。

LED TVの元年となるか

 LED TVは,親環境的な面に加えて,初期にはソニーが高色再現性をうたっていた。同社はそのために,RGBの3色のLEDを光源に使う方式を採用した。しかし,高価だったこともあり,好感触をつかむことができなかった。2005~2006年には,ソニー以外のテレビ・メーカーも含めて,信頼性の確保とコスト競争力の向上に向けた多様なソリューションの開発に力を入れるようになった。

 こうした開発の結果,Samsungは2007年に,コントラストが高く,価格競争力にも優れる白色LED方式のLED TVを市場投入した。これがきっかけとなり,多くのテレビ・メーカーがLED TV市場への参入を本格的に検討するようになった(図2)。

図2 LED TVのこれまでの開発,製品化の経緯
Displaybankのデータ
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 こうした流れを見ると,2009年には大半のテレビ・ブランドがLED TVをラインアップする可能性が高い。特に,2008年に急進したテレビの薄型化のトレンドが,LED TV市場の成長を大きく牽引するだろう。こうしたことから,2009年はLED TVにとってエポック・メーキングな年になると思われる。