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フレキシブル,スーパーハイビジョン,立体テレビの行方――NHK技研公開から読み解く

松枝 洋二郎=松枝コンサルティング
2009/05/29 18:30
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 東京都世田谷区にあるNHK放送技術研究所は毎年5月に研究の成果を一般に公開している。今年は5月21日~24日の4日間にわたって開催された。テーマは「テレビの進化は止まらない」である。研究成果37件のジャンルは多岐にわたり,「デジタルメディア時代に放送・通信分野で技術的リーダーシップを発揮する」というNHKの意欲を感じることができた。その中で筆者が興味を持ったいくつかの項目について紹介していきたい。

 最初のコーナーでは「“いつでも,どこでも,もっと身近に”を体験」と銘打って,「NHKオンデマンド」やIPTVサービス,衛星を用いたダウンロード放送などを紹介していた。これらの展示の中で筆者が最も早く実現してほしいと思ったのは,「映像配信サービスにおける複数受信期間認定情報連携」である。筆者の自宅では,大型液晶テレビと有機ELテレビの2台をインターネットに接続している。どちらも「アクトビラ」を通じてNHKオンデマンドのストリーミング映像を楽しむことができるのだが,液晶テレビで購入した番組は残念ながら有機ELテレビで見ることができない。これが“フローティング・ライセンス”の形で使えれば,出張先のテレビやパソコンでも見ることができるようになる。特に,いつでも見放題のサービスを購入している人にとっては,とても魅力的な技術だと思う。このような技術こそ,ぜひNHKが音頭を取って早く実現してもらいたい。

フレキシブル有機EL●有機TFT駆動のチャレンジ精神は認めるが

 フレキシブル有機ELディスプレイは,同じコーナーの一角で紹介していた(動画)。昨年の展示パネルに比べて効率が向上し明るさが約2倍になったというが,暗室ブースで見ても輝度は低く,ムラや欠陥が多数あった。また,有機EL層をうまく塗り分けられていないためか色再現範囲が狭く,色調もかなりずれていた。有機TFT部分はオーソドックスなペンタセンの蒸着膜であり,フォト・リソグラフィを用いてパターニングしているという。有機EL部分はリン光材料(青は蛍光材料のもよう)であり,シャドウ・マスクを使って塗り分けている(図1)。シャドウ・マスクの密着性を高め欠陥を減らすために保護膜を平坦化処理しているというが,残念ながらその効果が十分出ているとは思えなかった。

図1 フレキシブル有機ELディスプレイの構造
[画像のクリックで拡大表示]

 試作レベルとはいえ実用化までの道のりは非常に遠そうである。もともとフレキシブル基板に塗り分けるのが難しい有機EL材料を,伝達特性や均一性を確保するのが難しい有機TFTで駆動するわけだから,難易度は2乗で厳しくなる。チャレンジ精神は認めるものの,少々無謀すぎると思うのは筆者だけだろうか。

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