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イーベック 代表取締役社長 土井尚人氏

丸山正明=日経BPプロデューサー
2009/06/01 14:00
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土井尚人氏
土井尚人氏

 本連載の第1回目は、大学の研究開発成果を事業化する“大学発ベンチャー企業”を率いる経営者の方に、事業化の際にどんな点に苦労してきたかを聞いた。事業化というイノベーション創出の最前線で実際に何をしてきたのかを教えてもらうためだ。独創的な事業化を進めようとすると、次々と難問が浮上してくる。今まで誰もできなかったことに挑むため、事業の各利害関係者を納得させ、お互いに歩み寄れる解を得る知恵を絞り出すことが求められる。難問は急にいくつも浮上し、短時間で解決を求められることが多いので、日ごろの知識体系構築が重要になる。自分の知識体系の引き出しの中に、解を得るのに必要な知識がなくてはならないからだ。さらに事業を成功させるには、解を得るまで諦めない能力が求められる。諦めない能力は学び続ける能力によって支えられる。事業化に成功するイノベーターは事業を組み立てながら、必要なことを自分で学び続ける。大学発ベンチャー企業の1社であるイーベック(札幌市)の土井尚人代表取締役社長に、イノベーターになるために実践してきた学ぶための行動内容を聞いた。

 プロの仕事人になる必要条件は簡単には諦めないことだ。諦めずに考え抜くには、いろいろな知識を学び、使いこなすために体系的に学び続ける能力が求められる。学び続ける能力について、以下、土井社長の実践例をみてみよう。

 経済産業省が2009年5月18日に公表した調査結果によると、平成20年度(2008年度)末時点で活動している大学発ベンチャー企業は1809社ある注1)。数多くある大学発ベンチャー企業の中で、2008年に大きな話題を集めた代表格の一つがイーベックだ。北海道大学の研究成果である「完全ヒト抗体作製技術」の事業化を図っているバイオ系ベンチャー企業だ。

注1)経済産業省は2009年5月18日に「大学発ベンチャーに関する基礎調査」平成20年度度産業技術調査を公表した。この中に、現在活動する大学発ベンチャー企業は1809社あると報告されている。

 話題を集めたのは、2008年9月29日にドイツの製薬メーカーのベーリンガーインゲルハイムと、完全ヒト抗体の開発・製品化についてのライセンス契約を締結したからだ。これによりイーベックは、5500万ユーロ(当時で約88億円)の前払い金と開発ステージに応じたマイルストーンを受け取る契約に成功した。ベーリンガーインゲルハイムが製品を発売すると、販売実績に応じたロイヤリティーを同社が受け取ることも明らかにした。

 創薬系のバイオ系ベンチャー企業は“製品”化までにかなりの研究開発資金が必要になる(「製品」とは何かの定義はなかなか難しくなっている)。数100億円以上は必要といわれている。このため、バイオ系ベンチャー企業は既存の大手企業などと共同開発態勢をとり、研究開発資金を“前払い”してもらって研究開発を持続させる戦略をとる。バイオ系ベンチャー企業は自社が持つ研究開発資産の将来性を既存の製薬メーカーなどに高く評価してもらい、スポンサーになってもらうことが不可欠になる。

 日本のバイオ系ベンチャー企業が海外の製薬企業から研究開発資金を獲得した数少ない成功例の一つが、イーベックのライセンス契約だ。現在の研究開発成果という“科学知”と“技術知”の評価価値を、相手企業に納得させるには、独創的な発想を基に、それをどうやって事業として実現するかというやり方を的確に説明するコミュニケーション能力が重要になる。

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