皆さんは,会社の業績が「連鎖的に」下降する,あるいは「連鎖的に」上昇するという状況を経験したことはありますか? 私は経営コンサルティングを行う中で,多くの企業が「連鎖的に」下降あるいは上昇するすさまじい光景を見てきました。

 連鎖がプラスに働くとき(正の連鎖と呼ぶことにします)は,会社の業績はもちろん,職場の業績も個人の業績にも次々とプラスの作用が働いて良い結果を生み出していきます。しかし,反対に連鎖がマイナスに働くとき(負の連鎖)は,マイナスの作用が次々に働き,個人の業績も職場の業績も会社の業績も落ち込んでいくのです。

正の連鎖
負の連鎖

 もしかしたら目下の不況で,皆さんの職場でも負の連鎖が起こりつつあるかもしれません。とはいえ,こうした連鎖は,大きな経営環境の変化がない場合にも起こり得るということに注意してください。負の連鎖は,不況期でなくても発生します。逆にいえば,好況期でなくても正の連鎖は生み出せるということです。従って,日ごろから正の連鎖が作用するように組織の体制を仕向けておく必要があります。

 正の連鎖を生み出す上でカギとなるのが組織のモチベーションです。組織のモチベーションを上げるのが,個人のモチベーションを上げるよりも大変なことは皆さんもご存じだと思います。組織全体で正の連鎖を維持するには,個人が持っているプラス思考を組織に展開していく必要があります。

 次回からは組織のモチベーションを上げる方法について少しずつ解説していきます。今回覚えていただきたいのは,組織のモチベーションを重視する理由は,正の連鎖を生み出し,そして維持するためだということです。ぜひ,正の連鎖と負の連鎖について頭に入れていただいて,個人や組織のモチベーション向上に取り組んでください。