株主至上主義を改めるべき
一つの案は、株主至上主義といわれる強すぎる株主の権限をある程度制限すること。短期株式保有者は議決権を与えない、などの具体策が考えられます。「3カ月以上居住していないとその地で投票できない」という選挙制度と同じようなイメージです。
これにより「敵対的買収など短期的な株主の発言力が弱まり、ステークホルダー間のバランスの取れた利益の配分が行われること」が期待されます。
アジア諸国と同じレベルの企業支援を
もう一つは、企業支援の強化。途上国が企業支援を打ち出している以上、それと同等レベルで日本政府も企業を支援しなければなりません。よく指摘されるのが法人税ですが、法人税だけでなく様々な補助金なども企業を国内に留めるために必要なものです。
それができなければ、水が高きから低きへと流れるように、日本企業は海外へとどんどん流出していくことになるでしょう。
この景気後退は、大きなチャンスでもあると私は考えます。半導体紛争を思い出せば分かるように、日本が強力な産業振興政策を打ち出せば、日本の産業力向上によって被害を受ける可能性があるアメリカの産業界が苦情を唱えるというのが、これまでのお決まりのパターンでした。そのアメリカはいま、なりふりかまわず銀行の国有化を行い、自動車産業の救済に乗り出そうとしています。わが国も、今までの概念と違った、強力な産業政策を打ち出せる環境になっているのです。
早稲田大学客員教授 参議院議員