これまでバックアップはどうしていたのか

 60Gバイトのデジカメ・ファイルをノートパソコンから外に移す前は,実に簡単だった。ノートパソコンになんでも保存,そしてノートパソコンのHDDを丸ごとバックアップを取る,という方法である。

 バックアップは,USB2.0で接続した外付けHDDで,家に1台,職場に1台置いてあり,職場では大体1週間に1回,家では2週間に1回ぐらいの頻度で,増分保存ではなくて,丸ごとのバックアップを行う。バックアップ・ファイルは,前2回分を残す程度である。1回のバックアップで,4Gバイト程度のファイルが20個以上できるが,500GバイトのHDDなら余裕,1Tバイトなら楽勝である。

 バックアップ・ソフトは,「Acronics True Image」で,所要時間は,Let's note T5Aの場合,90Gバイトのデータなら,大体1時間30分で保存されていた。60Gバイト/時間,1Gバイト/分といった速度であった。

 その他に,旅行などの写真はイベント別の切り分けを行って,それは1Gバイトあるいは2GバイトのSDメモリーに別々に保存していた。これは,デジタルフォトフレームや,テレビ(あるいはDVDレコーダ)に直接差し込んで見るために使っていたが,同時に,バックアップにもなっていた。最近1Gバイトとか2GバイトのSDが極めて安価に買えるので,そんな方法が取れるのだ。これは便利になった。

 さて,前に述べたように,今回,調子の悪くなった常用パソコンのHDDの空き容量を増やすため,60Gバイトのデジカメ・ファイルを外付けHDDにコピーし,パソコン側のデータは削除することにした。ところが,外付けHDDへのアクセスが思ったよりも遅いことに気がついた。60Gバイトを普通に,すなわちWindowsのエクスプローラを使って移動させると,まあ2時間以上はパソコンが使用不能になる覚悟が必要である。1分あたりで0.4Gバイト程度の転送速度ということになる。古いJPEGファイルは200Kバイト程度と比較的小さく,外付けのHDDがFAT32になっているのがダメな理由かもしれないが。

 そこで,もっと良い方法はないものかと,これ以外にも様々なことをやってみた。USBメモリーなら速いのではないか,と思って32GバイトのUSBメモリーを買い込んで見たが,答えは×。きわめて遅い。しかも,2本買い込んで見たものの,1本は,いつのまにか全くアクセスができなくなった。

 CompactFlash(CF)の16Gバイトを買って,USBよりも早いと言われている飛鳥製のCFアダプタを使ってみたこともある。USBで接続した場合とあまり変わらない。かえって遅い場合もある。結論はやはり×。

 ネット(100BASE-T)を経由して他のコンピュータのHDDに送って見たこともあるが,USB2.0の方が速い。これも×。もっとも1000BASE-Tでは試みたことはない。

 無線LAN経由はもっと×である。108Mbpsの無線ルータを使っているが,ノート側は,802.11gである。これではやはり相当に遅いと言わざるを得ない。

 やはり現時点で最速のインタフェースは,USB2.0であり,それを上手に使う以外に方法はなさそうである。ご存知のように,USB2.0のデータ転送速度は,480Mbpsである。理論的には,60Mバイト/秒だが,ヘッダーなどが付けば,その分,速度は低下する。

 60Mバイト/秒ならば,3600Mバイト/分=3.6Gバイト/分といった速度が理論的な最高値だろうか。ところが,実態は先ほど述べたように,Windowsのエクスプローラを使って転送すると,0.4Gバイト/分程度しか出ない。Acronisによるバックアップだと,1Gバイト/分が出るのに,である。

 ということで,現状はどうしているのか。新しいLet's noteのR8プレミアムバージョン(HDD 320Gバイト)に,機種変更以前に撮影してあったものは,すべてサイズを落としてから保存した。その後,撮影したファイルはそのまますべて入れている。そのため,すごい速度でHDDの空き容量が減っていくが,しばらくは持つだろう。そして,外付けのHDDにAcronis True Imageを用いてバックアップをするという方法論でしのいでいる。しかし,所要時間がさらにかかるようになってきたのが難点である。すなわち,本質的な解には到達していない。