太陽電池は世界不況下でも生産能力を上方修正,2009年は発電力換算で20.7GW
フランスYole Developpement社は,米金融危機が世界不況に拡大して以来初の,太陽電池の世界生産能力予測をレポート「PV Fab Database 2009-I(日本版は『日経マーケット・アクセス』が2009年2月に発行)」で公表した。それによると,2009年の世界生産能力は発電力換算で20.7GW,3年後の2012年には同39.2GWになる(図1)。前回2008年10月の予測よりも2009年の世界生産能力で2.2%引き上げ,2012年の能力では同16.0%上方修正した(図2)。世界規模の信用収縮で,太陽電池関連メーカーが生産能力拡大計画通りに資金を調達できるかどうか不透明な部分はあるにせよ,投資意欲そのものは非常に高いと言ってよいだろう。
日本での生産を大幅上方修正
図1や図2は,太陽電池メーカーの本社所在地ではなく,実際に生産工場がある地域ごとに生産能力を予測,集計したものである。主要生産5カ国・地域のうち,日本の上方修正幅が極めて大きく,2009年の予測で約25%,2012年の予測では約70%も引き上げている。これは世界不況の中でも,日本メーカーが相次いで増産計画を発表したのと,Yole社が独自に日本の生産能力の予測を上方修正したためである。
シャープは2008年11月,日本と欧州でそれぞれ最終的に1GWの生産能力実現に向けて,2010年から年産480MW規模で生産に入ると発表した。2008年12月には,カネカが2011年に200MW規模の工場を稼働させて,2015年をめどに1GWに能力を拡大させることを明らかにした。こうした状況に加えてYole社は,京セラや三洋電機の2009年の生産能力の予測値をそれぞれ約100MWずつ引き上げた。
ただ,こうした上方修正にもかかわらず,世界の太陽電池生産能力に占める日本のシェアは2011年までわずかながら減少が続き,増加に転じるのは2012年である(図3)。
成長率のピークは2008年,今後は徐々に成長幅鈍る
日本に次いで上方修正幅が大きかったのが,2009年の生産能力で世界3位の台湾である。2009年の能力を3.4%引き上げ,2010〜2012年では毎年10%以上上方修正した。
一方,太陽電池の世界最大の生産国である中国については,Yole社は今回,ほとんど予測を修正しなかった。米国については,2009年の生産能力予測は3カ月前よりも1.9%引き下げたが,2010年以降は3〜8%程度を上方修正している。2008年の生産能力で中国に次ぐ2位につけているドイツは,フィードイン・タリフ制度(政府が太陽光発電などで得られた再生可能電力を,市価よりも高い価格で電力会社に購入するよう義務付ける制度)でこれまで急速に成長してきた。Yole社はドイツの2009年の能力を今回の予測では微減としたが,2010〜2012年については2〜3%引き上げた。
ただ,太陽電池産業の拡大ペースがこれまで以上に早まるわけではない。これまでの主な需要先だった欧州では,スペインのようにフィードイン・タリフ制度の適用範囲縮小などの見直しが始まっており,需要の見通しがこれまでほど楽観できなくなりつつある。Yole社の生産能力予測では,対前年比能力拡大率(成長率)はおおむね2008年が最大で,2009年以降は伸びのペースは徐々に下がる(図4)。
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