図1 とりあえず自宅へ持ち帰った端末「UD01SS」(箱に入った状態)。
図1 とりあえず自宅へ持ち帰った端末「UD01SS」(箱に入った状態)。
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図2 ドライバはインストールできたのだが,自宅には外付けできる光学ドライブがなく,それ以上の作業ができなかった。
図2 ドライバはインストールできたのだが,自宅には外付けできる光学ドライブがなく,それ以上の作業ができなかった。
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図3 編集部の外付け光学ドライブを使い,ようやくユーティリティ・ソフトウエアをインストールできた。その後は順調に接続できるようになった。ちなみに,type PにUD01SSを接続する場合は左側のコネクタに挿した方がいい。写真のように右側に挿すと,Back spaceキーを押す時に指が当たって使い辛い。
図3 編集部の外付け光学ドライブを使い,ようやくユーティリティ・ソフトウエアをインストールできた。その後は順調に接続できるようになった。ちなみに,type PにUD01SSを接続する場合は左側のコネクタに挿した方がいい。写真のように右側に挿すと,Back spaceキーを押す時に指が当たって使い辛い。
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図4 すずかけ台駅ホームで接続しているところ。
図4 すずかけ台駅ホームで接続しているところ。
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図5 東急田園都市線電車内でも接続を試みる…が,なかなかつながらない。
図5 東急田園都市線電車内でも接続を試みる…が,なかなかつながらない。
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 「うのちゃんって『type P』,持ってるよね?」「えぇ?は,はい。先日届きましたから,家にありますけれど…」「だったらさぁ,モバイルWiMAX,試してくれないかなぁ」――3月初旬,編集部屈指のイケメン記者と言われているT先輩から,突如としてモバイルWiMAX試用の指令が下った。UQコミュニケーションズが開始した無線データ通信サービス「UQ WiMAX」の報道陣向けに貸し出される端末「UD01SS」を実際に使ってみようという企画である。

 しかし,なぜソニーのノート・パソコン「VAIO type P」所有者であることを理由に,自分に白羽の矢が立ったのか,分からない。確かに筆者の所有するtype Pは無線WAN非内蔵モデルなので,無線LANがない環境でネットワークに接続するには,外付けの通信端末が必要だ。が,それはほぼ全員が持つ会社支給のノート・パソコンでも同じ状況だと思うのだが…。とにかく,T先輩からピカピカと光り輝く箱を受け取り,試してみることにした(図1)。

 「抜群の機械音痴を誇る宇野に,無線端末の接続設定はできるのか?」――諸先輩の不安は見事に適中する。T先輩からは「USBコネクタに挿せば関係するソフトウエアがインストールされるみたいだから」と言われていたのだが,本体を接続してインストールされるのはドライバのみ。ユーティリティ・ソフトウエアは,端末に添付されているCD-ROMからインストールしなければならない…が,type Pは光学ドライブを内蔵していない(図2)。

 結局,USB接続できる外付け光学ドライブを探してバタバタする羽目になった。本当は,UQコミュニケーションズのWebサイトからダウンロード可能なのだが,そんなことに筆者が気付くわけはない。それ以外はなんら問題なく(というか,なんらユーザーが設定しなければならないところもなく)無事に接続できた(図3)。

 編集部は白金高輪駅(東京都港区)付近の,ビルの9階にある。UQコミュニケーションズの公表によれば,2009年2月末時点でサービスを提供している地域に入っているようだ。建物内での通信は難しいのではないかとの予測もあったが,編集部の窓から5mほど離れた筆者の自席で接続できた。価格.comの通信速度測定サービスで測定したところ,下り(受信)4.3Mビット/秒,上り(送信)1.2Mビット/秒だった。

 東京都北区某所の自宅でも試してみたところ,下り1.1Mビット/秒,上り0Mビット/秒(数十kビット/秒と思われるが,そうした表示はされないようだ)だった。UQコミュニケーションズのサービス提供地区マップによると,自宅周辺は所々「2009年9月末までに拡大予定のサービスエリア」になっている地域なので,現時点ではあまり通信状況は良くないということだろうか。ちなみに,光ファイバー・マンションVDSLタイプに宅内の無線LANを組み合わせて接続している状態では,下り11.2Mビット/秒,上り9.2Mビット/秒だった。

移動中はどうなるのか?


 モバイルWiMAXの特徴の一つは,移動中であっても基地局を切り替えながら接続できることだったはず。ならばやってみよう…というわけで,電車での移動中に接続できるかどうかを試すことにした。筆者は通勤に地下鉄を使っているが,地下鉄内でのサービスは提供されていない。そこで,外出する機会を使い,私鉄やJRなどで試してみることにした。

 その日の目的地は東急田園都市線すずかけ台駅だ。朝のラッシュを抜けた長津田-すずかけ台間で,パソコンを取り出して接続してみたが,接続が切れてしまって繋がらない。長津田駅ホームでは下り13.1Mビット/秒,上り0.8Mビット/秒,すずかけ台駅ホームでは下り0.7Mビット/秒,上り0Mビット/秒だった(図4)。

 帰りは昼近くで比較的電車内も空いていたため,最初から最後まで接続を試みることにした(図5)。すると,長津田駅を過ぎた辺りで走行中に,下り3.5Mビット/秒,上り0.2Mビット/秒で接続できた。が,再び接続できなくなり,停車中も接続できない駅があった。その後,接続できたのは溝の口-二子玉川間(急行走行中)の下り1.6Mビット/秒,上り1.0Mビット/秒,東急大井町線の自由が丘駅停車中の下り5.6Mビット/秒,上り0.3Mビット/秒だけだった。

 今回,筆者が乗車した東急田園都市線(すずかけ台~二子玉川),東急大井町線(二子玉川~大岡山)は,2009年2月末時点ではサービスが開始されていない,今後の拡大予定地域に含まれる部分が多い。恐らく,現時点では基地局そのものがなかったのではないかと考えられる。

山手線で接続してみる


 そこで次に,比較的基地局の整備が進んでいそうなJR山手線で試してみることにした。まずは田町から東京,上野方面へ向かう。時刻は深夜12時を回ったころだ。頻繁に停車するため,移動中か停車中かは判断しにくいが,秋葉原-御徒町間と御徒町-上野間は走行中に測定することができた。前者は下り1.1Mビット/秒,上り0.7Mビット/秒,後者は4Mビット/秒,上りが0Mビット/秒だった。さすがモバイルWiMAX,移動中も接続できるようだ。

 なお,有楽町駅停車中は下り0.8Mビット/秒,上り0.7Mビット/秒,東京駅停車中は下り1.8Mビット/秒,上り0.5Mビット/秒,上野駅停車中は下り3.6Mビット/秒,上り0.7Mビット/秒だった。それ以降,西日暮里近辺からは現時点ではサービス提供地域ではないらしく,接続が切れてしまった。

 翌日,再び深夜11時半ころから山手線に乗り込み,試してみることにした。今度は目黒から新宿,池袋方面へ向かう。が,今度は週末だったこともあり電車は満員。いくら小型のtype Pとはいえ,ノート・パソコンを開いていること自体がかなりのヒンシュクモノである。何とか間隙をぬって接続を試みたが,今度は走行中の接続・測定は一回もできなかった。新大久保停車中は下り4.1Mビット/秒,上り1.1Mビット/秒,高田馬場停車中は下り2.3Mビット/秒,上り0.1Mビット/秒だった。その後,池袋の手前までの区間は2009年2月末までのサービス提供地域に含まれていないためか,接続できなかった。池袋駅のホームは下り1.1Mビット/秒,上り0.1Mビット/秒だった。

 と言う訳で,今回の試用ではモバイルWiMAXは広帯域移動アクセスの名前どおり,電車での移動中でもブロードバンド通信できそうだ。ただし,現時点では東京都内,23区内であっても,サービス未提供地域がある。電車の場合,こうしたサービス未提供地域に入る度に接続が切れてしまう。今のところ,移動中に通信するのは実質的には難しいのではないかという印象を受けた。

 「それにしてもうのちゃんって電車内でパソコン開くの,好きだよねぇ」「はぁ。今回は,本当にtype Pで良かったですよ。電車内で立ったままでも片手で持って操作できましたからね」「立ったままパソコンを使っていたの?!…(あきれて絶句)」「え?!そのためにtype Pで試せってことじゃなかったんですか?」