高品位ヘッドフォンとUSB-DACの購入

 今回の事態は,すべて高品位ヘッドフォンに触れたことから始まった。

 まず,どれかを買うことでスタートである。選択基準は,高品位であることがほぼすべての評価・噂などで認められているヘッドフォンということにした。視聴して決めると,世の中の評価とは違ったものを選択してしまいそうである。それも,年齢とともに,高音を聴きとる能力はかなり急速に劣化するからである。それに,個人の思い込みが音質に影響するというのが,恐らく実態だろうと思ったからである。多数決に従うのが,やはり無難なのではないだろうか。

●ネットで評判の良かった「Sennheiser HD 650」
●ネットで評判の良かった「Sennheiser HD 650」 (画像のクリックで拡大)

 その結果選択したのが,ドイツのSennheiser製の「HD 650」(写真)なる機種である。音質はクラシック向けということだ。クラシックばかりを聴く訳ではないが,そんなにハードなロックなどを聴く訳でもないので,良いのではないか。通信販売にて購入。

 これが到着してから,いろいろと視聴に取りかかった。手元のCDから192kbpsのビットレートのWMAを作成して,いろいろな機種に転送し,聴いてみた。これで,ヘッドフォンの評価と噂は本物だという印象。解像度が高く,周波数特性も非常良い印象。一部に音がこもる傾向があるとの噂もあったが,そんな感じに聴こえる曲もない訳ではない,といった程度。

 いろいろと聴いてみて,これは機器よりもソースの差が大きくて,音質の評価となると,まずはCDに入っている音質の評価になることが分かった。となると,機器の差を聴き分けるには,何かスタンダードと言える音を出してくれる機器が必要だということになる。いろいろとWeb上の情報を探ってみると,どうやらヘッドフォン・アンプというものがあるが,かなり高価だということ。しかも,このHD 650のインピーダンスは300Ωというオーディオ用としては例外的に高いもので,通常のアンプでは駆動できず,かなり良いアンプが必要との情報もある。しかし,20万円のアンプが良いとか言われてもねえ。タカがヘッドフォン用,されどヘッドフォン用,であるが,どちらかと言えば,個人的には「タカが出力500mW」という感じだからである。

 すなわち20万円もアンプに投資することは,機器よりもソースがどうやら問題だというこちらの意識とは,必ずしも一致しない。最近のオーディオ技術なら,あまり出力もいらない訳だし,そこそこの音質のアンプぐらい作ることができるだろう,とあまり触手が動かない。

 ところが,いろいろと探っているうちに,パソコンからUSBで出力して,外部にDAC(デジタル・アナログ・コンバータ)を付ける方式(USB-DAC)は,相当に高品位の音が出るという多少古い記事を発見。それなら,USB-DACで適当なものを探そうということにした。

●AUDIOTRAKの「Dr.DAC2」
●AUDIOTRAKの「Dr.DAC2」 (画像のクリックで拡大)

 いささか力が入った製品としては,国産品としてはOnkyoのものに限られるようだ。外国品は,極端に高いものもある。ところが,国産品ではあるが「Dr.DAC2」(写真)という少々ふざけた名前の製品があって,評価が高いようだ。スタンダードが必要だというつもりで探しているので,ある程度定評があるのならその方が良いだろう。

 ということで,スタンダードをこれにすることに決めた。Dr.DAC2なるUSB-DACとそのヘッドフォン・アンプを使うことにする。さっそく発注。

 製品が到着して,パソコン(レッツノートCF-T5A)に接続。自動的にドライバーがインストールされ,すぐに使用可能になった。

 その音であるが,確かに余分なものが一切に取り除かれた音である。イコライザなど音質をいじる仕掛けは一切ない。スタンダードとしてこれを使うのは,ますます適切なように思える。