10月10日午前の日経平均株価は暴落し、一時的に前日比1000円超安の8110円台まで値を下げました。同日は朝から奇しくも民主党の金融対策に関してメディアの方々に説明させていただいていたのですが、そこへ「大和生命が破綻」の連絡が入り、円高の加速などもあり大幅に株価が暴落したのです。

 しかしながら、この暴落の根底にあるのは国内問題ではありません。大きな要因は欧米での金融不安。あのリーマンブラザーズですら破綻し、まだまだ出口は見えません。こうした不安感から海外の機関投資家が日本株を投げ売りしたのが株暴落の真相といわれています。

 この影響が日本にまで及び大和生命が破綻するまでに至ったわけです。もっとも、破綻したのは金融機関だけではありません。9日には、東証に不動産投資信託(REIT:リート)として初めて上場したニューシティ・レジデンス投資法人が破綻しています。

100年に1度の金融危機

 欧米発の金融危機。その根底には、よく言われているようにサブプライムローンの問題があります。国際通貨基金(IMF)もそう指摘していますが、簡単に言えば「アメリカの土地バブル崩壊」です。アメリカでの土地価格の暴落が原因であり、土地の価格が下がり続ける限り不良債権はどんどん発生することになるでしょう。

 こうした状況を受けグリーンスパン前FRB(米連邦準備理事会)議長は、「世界経済は100年に1度の金融危機に直面している」と指摘しています。先進国や新興国が協力して金融危機を抑えこもうとしていますが、どこまで強力な対策が打てるかが重要です。

 この一週間で先進国や新興国の政府財政金融担当者が集まりG20を開き、12日にはパリで欧州15か国と英国が集まり緊急首脳会議を開催し、対策を協議しました欧州諸国では、金融機関へ政府が資金投入することを決めています。英国は、政府が銀行間の資金流通を保証するとともに、金融機関の株式を買い取るかたちで銀行に公的資金を注入するという緊急対応策を打つようです。現地の新聞はロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland、RBS)、HBOS、ロイズTSB、バークレイズの優先株を取得する準備を進めていると報道しています。ドイツのメルケル首相も政府による大規模な銀行救済策を行うことを表明しました。

中国は大丈夫か?

 私が描く最悪のシナリオは、中国経済の倒壊です。中国経済が不振に陥れば、中国の政府体制にまで影響を及ぼすことになるでしょう。私は、かねてからオリンピック後の中国経済の減速を指摘していましたが、現在進んでいる国際的な金融危機が、中国の金融危機につながる可能性は大きいと考えています。