漫画『ドラえもん』の主人公であるのび太は,捕獲器に捕まったゴキブリが可哀想だといって逃がしてやるようなメンタリティを持った子供である---。

 この7月25日,アーサー・D・リトルシニアマネージャーの川口盛之助氏が「AT International 2008」の展示会場に設けられたメインシアターで,アクアビット社長の田中栄氏と対談した際に出てきた話である。

 川口氏は,のび太がゴキブリを逃がしている漫画のカットを紹介して,ゴキブリの命さえも大切にする「のび太的」なメンタリティが,製造業の競争力を上げるためにも重要なことだ,という趣旨のことを語った。

「左下王」としての日本

 のび太的メンタリティとは,「女性的で子供的」であることだ(そのあたりは,同氏の著書『オタクで女の子な国のモノづくり』に詳しい)。縦軸に大人っぽさ・子供っぽさ,横軸に女性的・男性的をとったグラフを描くと,日本人は左下の象限に位置する,と考える(例えば,このようなグラフである)。

 つまり,日本人は「女性的」と「子供的」という両方を兼ね備えている。これに対して,他の国々は,子供的だが男性的(右下),女性的だが大人的(左上)とどちらか,あるいは対極にある男性的で大人的(右上)という象限に位置する。

 自動車で見ると,子供的だが男性的なパワーのあるクルマは米国が(右下),女性的だが大人的なエレガントなクルマはフランスやイタリアといったラテン系の国(左上)が,男性的で大人的な質実剛健なクルマはドイツや北欧諸国(右上)が得意とするところである。これに対して日本人は,「『左下王』なのです」と川口氏は言う。