携帯端末ビジネスは世界で負けているじゃないか、という声が聞えてきそうです。その通りです。携帯電話のキャリアお買い上げシステムがそもそもの誤りの根源だということは良くいわれます。それが何故ダメだったかというと、「キャリア」というものが狭い日本国内限定のインフラ側・あちら側のものだからなのでしょう。お上の論理で動くプレーヤーとは保護産業のようなものですから、世界の覇権を競う連中にはなかなか及びません。携帯電話機を国内のあちら側からの末節点・末端と捉えた時点で、世界戦での勝敗は決まってしまっていたということなのです。こちら側の人間と接する道具としての魅力を深耕する力量が支配的であるという視点で捉えていれば、このような残念な状況にはならなかったはずなのです。


(画像のクリックで拡大)

モノの宇宙と人の宇宙において魔物を退治してきた技術

 全く別の切り口で技術の種類分けをしてみましょう。まず先ほどのインフラ側を支える技術をみてみます。

 近代以前では、雷や台風、日食、地震などの自然現象は人知の及ばぬ神の仕業でした。飢饉や洪水、疫病などの困りごとは全く制御不能ですから祈るしか手がない神秘の世界でした(この神の怒りを静める祈りという目的のために技術の兄弟分である芸術が広く深く開発されてきました)。天文学や土木建築学などの発達は、これらを一つづつ解き明かし、祈る代わりにそのテクノロジーを握った者が王になったのです。