「スッポン」は効くのか

 薬などでは、実際にそのようなことがあることが知られている。偽薬効果とかプラセボ効果と呼ばれる現象で、有効成分を含まない偽薬を飲ませても患者が薬だと信じれば何らかの改善がみられることがある。だから、新薬の効果を確かめる臨床試験などでは、必ず試験薬投与のデータとともに偽薬投与のデータをとり、偽薬効果を排除してその効果を確認しなければならない。

 そんな効果の恩恵があるためか、健康食品やサプリメントと呼ばれる商品群の中にも科学的には際立った効果が確認されていないのに、根強い人気を保持しているものが多くある。たとえば、私が飲まされているスッポンのエキスである。誰かが「これはいい」と家人に吹き込んだらしく、「ほんと、これはいいわ」ということになって毎日飲まされることになってしまった。確かに、風説では「スッポンは高価だけど体にいいもの」ということになっている。でも、いったいどう「体にいい」のだろうか。どんな成分がそれに関与しているのだろうか。そんな疑問が次から次へと湧き上がり、ちょっと調べてみることにした。

 いい情報源が見つかった。国立健康・栄養研究所のサイトにある「『健康食品』の安全性・有効性情報」で、そこには健康食品、サプリメントとして人気のある物質などのデータが豊富に蓄えられている。それによれば、スッポンは軟らかい甲羅をもつカメの一種。古くは甲だけでなく頭、肉、脂、血も薬用とし、現在でもその肉や血、抽出物(スッポンエキス)は「補薬」(虚弱体質や虚証を補う薬剤)として、俗に「体力衰退」「肺結核」「滋養強壮」などに用いられている。やはり日本では、昔から薬効があるとされてきたようだ。なるほどと読み進むと、「しかし、その作用機序や主な成分の詳細は不明であり、ヒトでの有効性・安全性に関するデータは見当たらない」とあるではないか。がっかりである。

知人がハマったジュースの場合

 それにしても健康食品にはいろんなものがあるもんだなぁと感心しつつ項目を斜め読みしていると、「ノニジュース」という文字が飛び込んできた。確か友人の奥さんがこの「ノニジュース」にハマっているという話を先日聞いたばかりである。