「乗せてもらうのはいいんだけど、その先はねぇ。どこのメーカも、昔はアルバトロスみたいなものも作らせてもらえたけど、今は遊びにみえるような自由研究なんてさせてもらえないみたいですよ」とさびしそうにMは言う。きっと上から「ウチにそんな余裕があったっけ? 時代が違うんだよ時代が。遊んでるヒマがあったら売れる物の一つも考えろ」とイマどきの経営者的叱咤が降り注いでいるのだろう。

 いやいや、だからといって「その通り、ムリですな」と引き下がる手はない。そんな社会人人生が楽しいか?

「じゃあこうしよう。最初からメーカーと組んでオモロイもの作ろうなどとは思わない。俺は勝手にこれから欲しい乗り物を考える。それをメーカーの人たちに見てもらって、協力できそうとなったら一緒にやる」

「それならまあ、可能性がなくもないかな」

「さっそくだがおれがやりたいのはだな、ソーラー充電式電動スケボーだ。電動式スケボーはインターネットで何社かすでに販売しているし、ソーラー充電機器もしかりだ、それらを組み合わせて試作機を作りとりあえず日本の世界遺産数カ所をそれで回ってみたいって考えてるんだ」

 どさくさにまぎれて、秘かに温めていた腹案を披露してみた。

「ああ、そう」

 何だかノリが悪い。でもまあ、最初はそんなものだ。とにかく第一歩を踏み出せば、状況はどんどん変わっていく。よーし、やるぞということで、次回は再起動の顛末についてご報告させていただきたいと思っている。まあ、交渉がうまくいけばの話だけど。

読者の皆様にお知らせ

 これまで何度か連載を書かせていただきましたが、ここらでそろそろ空論ではなく、実際に企画を実践してみたくなってきました。息の合った企業と共同で本当に商品開発をやってみたいと思うのです。はじめは私が企画提案を書きます。「おもしろいかも」と思われる方がいらっしゃいましたらぜひご連絡ください。コラボしながら開発状況を連載し、読者の方々のご意見をいただきつつ企画を進行させていく。こんなことにならないかと期待しております。簡単に言えば「リアルタイムな読者参加型プロジェクトX」てな感じでしょうか。
 ところが本連載のタイトルは「うそも数打ちゃそのうち当たる」でした。さすがに寛大な企業様でもこれでは協力どころか引いてしまいそうです。ということで、変えることにしました。これで障害は一つなくなったと思いますので、実践者として、はたまた助言者としてよろしくご参加のほどお願い申し上げます。