「まだ公道はムリだね。燃料電池スクーターとかもあるけど、やっぱり公道は走れない。電動アシスト自転車ならあるだろうけど」

「じゃ、それ使ってみようか」

「いやほかにも、二輪車メーカーにはお蔵入りしたサンプル試作バイクがいっぱい倉庫に眠っているらしいよ、その中にいいのがあるかも」

 「それだよそれ!」。本能的にピーンときた。こりゃ掘り出し物があるかもしれない。「一般大衆には売れない」と企業が商品化にダメ出ししたものは、この世に山ほどある。しかし企業の視点ではダメでもイノベーター(新しいもの好きな少数集団のこと、この集団の16%が使い始めると大ヒットするというのがイノベーター理論)にとっては垂涎の逸品で、それこそ宝物と認識されることが多々あるのだ。

「ちょちょっと見たいんだけど、その中からいくつか」

 そんな口利きのお願いをして3日も経ったころ、M氏からメールが来た。

「エコバイクとは遠いけど、戦闘機型バイクなんてやつなら見たことあるよ。たしかアルバトロスとか呼んでたかなぁ。中身はただの原付バイクだけどね」

紫電改をイメージしてスケッチしてみたアルバトロスの想像図
紫電改をイメージしてスケッチしてみたアルバトロスの想像図 (画像のクリックで拡大)

 おお、すごい。どうやら、第二次世界対戦のころのプロペラ戦闘機の胴体をバイクに被せたようなものらしい。運転(操縦?)したらその気になること間違いなしである。おまけに機銃掃射機能まであり、引き金を引くと「ビビビーッ」とか音が出るのだという。何て素晴らしいんだ。