携帯電話の世界で最近の注目事項と言えば、先日日本でも発売されて話題になったアップルの「iPhone 3G」であり、もう一つはグーグルが提供する携帯電話用ソフトウエア・プラットフォーム「Android」だろう。

 日本の若いユーザーにとってiPhoneは、iPodの機能が付いたクールな携帯電話といった捉え方をされている。もっとも、ワンセグや電子マネーが使えず、メールで絵文字を出せず、文字入力もしづらいから、短期間で機種を交換する日本のユーザーはすぐに使わなくなるという声も聞こえてくる。

 だが、私はiPhone単体ではなく、アップルのビジネスモデルに注目しており、Androidについても同じ見方をしている。iPhoneやアンドロイドを使ったマシンは、ネット上にある両社のサービスにアクセスする手段を提供するものだ。つまり、両社は携帯電話を、自分の事業全体の価値を高めるビジネスモデルを組み立てるために必要な機器と位置付けている。したがって、従来の通信会社と携帯電話メーカーのビジネスモデル上に乗る機器ではもともとない。

 アップルは日本での展開でもソフトバンクというキャリアの色を限りなく少なくし、あくまでもアップルの製品として打ち出し、機器だけでなく、その背後にあるアップル自身のサービスに誘導する環境を整えつつある。まず、iPhone用アプリケーションの開発キット自体は無償で提供し、サードパーティ各社に先を争うようにアプリケーションを開発させるように仕向けている。そのアプリケーションを販売するために、ネット上の「App Store」を用意し、iPhoneにはApp Storeにリンクするためのアイコンを用意している。また、AppleCare Protection PlanというサポートサービスをiPhone にも適応する。