洞爺湖サミットを前に設置された「地球温暖化問題に関する首相懇談会」での冒頭の会議で、私はこう述べた。「温暖化問題を考える上で一つの懸念を持っています。それは日本人自身が見る日本と、海外から見る日本との間にギャップがあり、しかもそのギャップが年々拡大しているからです」と。

 今回は国内外の日本を見る目のギャップをテーマに「内なる国際化」を考えてみたい。

ランキングの格差(1)

 国内では耳にたこができるほどよく聞く話にこういうのがある。「日本は環境技術で世界一だ。省エネ技術は世界一だ。だから日本は世界で最も温暖化問題に取り組んでいる国なのだ」と。前半はその通りだろう。けれど、後半はどうなのだろうか。

 こんな現実がある。2007年10月、世界銀行が世界70カ国(CO2排出上位70国)を対象に温暖化問題への取り組み姿勢(国としての政策など)を比較評価し、そのランキングを発表した。世界一と誇る日本の位置はなんと62位。日本の上位には中国を始め多くの国がいる。そんな低位置に日本が置かれるなど、日本人の目から見ると信じられない。いや、怒りすら湧いてくるだろう。だが、どう歯噛みしようと、これが世界の目から見た日本の地球環境問題への取り組み姿勢への評価なのである。

ランキングの格差(2)

 ボストンに本拠地を置くあるNGOが発表した世界の主要金融機関の環境ランキングがある。トップグループは欧州勢で、それに続くのが米国勢。そして日本のトップ3社は、はるか下位グループに甘んじているのである。欧米の金融機関が早くから地球環境問題に取り組んできたのは誰しもが認めるところだ。実際、様々な活動に取り組んでいる。それらの金融機関とある程度の格差があるのは致し方ないにしても、日本勢が途上国と肩を並べる位置付けというのは何ともさびしい。

 日本の金融機関の立場からいえば、いま環境配慮型金融に取り組もうとしている自分達の評価としてはいかにも低すぎるというのが実感であろう。