ところが将来に目を転じると,新たな大市場を築く製品は今のところ見あたらない。パソコンやテレビ,携帯電話機の市場も,次第に成長が鈍化するだろう。これから電子産業は,成熟期に入る可能性がある。そうなったとき,古い体質を引きずったままの日本企業は,並み居る世界の競合を相手に,本当に生き残れるのだろうか。
特集記事を掲載してから,早くも1年あまりが経過した。日本ビクターは,ケンウッドとの経営統合の道を選んだ(図2)。Sony Ericsson社の収益は悪化し,HGST社は黒字転換を果たした。松下電器産業,キヤノン,日立製作所の3社が液晶事業で提携し,ソニーはシャープと液晶パネルで手を組み,東芝はHD DVD事業から撤退した。各社は,それぞれ「勝利の方程式」の解を追い求めている。
電子産業を取り巻く環境は,厳しさを増している。北京五輪の熱狂が去った今,各社の前に広がるのは,サブプライム・ローン問題が尾を引き,資源高にあえぐ世界市場の現状である。各社が選んだ道は,果たして正解なのか。「答え合わせ」は,これから始まる。
参考文献
1) 今井ほか,「電機 勝利の方程式」,『日経エレクトロニクス』,2007年4月9日号,pp.47-74.
2) 木村,「共同ファブはなぜ破綻したのか<上>」,同上,同上,pp.123-126.
3) 木村,「共同ファブはなぜ破綻したのか<下>」,同上,2007年4月23日号,pp.117-120.
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