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【電子産業史】2005年:「中村裁判」の波紋

職務発明は誰のもの,企業と社員の関係変える

2008/08/28 09:01
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2005年1月にいわゆる「中村裁判」が和解で決着,4月には職務発明の「相当の対価」に関する条文などを改めた新特許法が施行された。

 日本がプロパテント政策を推進している中,ノーベル賞級といわれる青色発光ダイオードの発明を主導した中村修二氏(現University of California,Berkeley校 教授)が,取得した特許の所有権を巡って発明当時の勤務先である日亜化学工業を提訴した。この一連の裁判は,職務発明に対する所有のあり方とその価値(対価)算定の考え方に大きな影響を及ぼした。東芝やキヤノンをはじめとする代表的な企業においても高額な職務発明訴訟を誘引し,産業界に超大型の台風をもたらす結果となった。

604億円の対価に異論続出

 中村裁判のキッカケは,諸説流れているが,純粋な技術者である中村氏の日亜化学工業に対する根深い不信感にあったとされることが多い。第一審である東京地方裁判所は,発明の所有については日亜化学工業に認めたものの,発明の対価を604億円と認定し,世間を震撼させた。

 結局,控訴審である東京高等裁判所は,中村氏の特許の有効性を考慮しつつ和解勧告を行い,約8億円で和解という結末を迎えた。

 この間,東京都内の有力弁護士事務所から中村氏の主要特許の無効論が発表されたり,産業界からは職務発明に対する技術開発の連続性による会社の寄与度の大きさを強調する論文が発表されたりと,東京地方裁判所が認めた発明の対価額に対する疑問の声が大きくなっていた1)

新特許法35条で不公平を是正


図1 従業員側には不満の声 多くの技術者は契約に基づく「米国型」の報奨制度の導入を歓迎するものの,新制度の基礎になる会社側との話し合いの現状には満足していないようだ。新特許法が施行される直前の2005年3月に本誌がインターネットで実施した調査では,改正後の第35条が規定する新制度の設立に向けた会社との協議について,「従業員から要望は出たが,制度には反映されていない」または「自由に意見ができる雰囲気ではなかった」を選んだ回答者が過半数を占めた2)。 (画像のクリックで拡大)

 また,これを契機に職務発明の根拠となる特許法第35条の改正論議が活発化し,日本経団連,日本弁護士連合会,日本弁理士会,日本知的財産協会などのステーク・ホルダーたちのポジション・ペーパーが次々と公開されていった。

 結果として,2005年4月に施行された新特許法第35条は,対価の算定に関して,従業員と会社との間で契約や勤務規則などで基準を定めることとした。また基準の策定に当たっては,両者間の協議状況,基準の開示状況,対価額算定に対する従業員からの意見の聴取状況等を考慮して,合理性のある範囲で決めることになった。米国と同様に,会社と従業員との契約に委ねるようになったのである(図1)。

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