基幹LSIの使い回しが
電子産業の構造を変える

日経エレクトロニクス表紙

 2003年は,同時多発テロの影を引きずるかのように,国外で暗いニュースが相次いだ。2月ごろから香港やベトナムで新型肺炎(SARS)が発生,アジアを中心に感染が広がった。中国工場の生産が滞るなど,国内の電子産業にも多大な影響を与えた。3月には米英軍がイラク本土に侵攻,いわゆるイラク戦争が始まった。

 この年に最も評価が高かった記事は,12月22日号の特集「なぜPSXを7万9800円にできるのか」である。ソニーは12月,「プレイステーション 2」の基幹LSIを搭載したDVDレコーダー「PSX」を発売した。本誌はPSXの分解・解析を通じて,「カスタムLSIの開発」から「基幹LSIの使い回し」へという,機器メーカーの戦略の転換を浮き彫りにした。基幹LSIが大量に流通する状況は,電子機器業界の構造そのものを揺さぶる。基幹LSIさえ手に入れれば,「300万画素級のデジカメ,来年は1万円で販売へ」(12月8日号)の事例のように,開発コストを抑えた低価格のデジタル機器を売り出せる。大手機器メーカーは,EMS企業を活用して低価格品を多機種展開する,新たなライバルと対峙することになった。

2003年に読まれた記事 BEST 3
  1. なぜPSXを7万9800円にできるのか(12月22日号)
  2. 300万画素級のデジカメ,来年は1万円で販売へ(12月8日号)
  3. 34万台を無償修理に陥れた,テレビの中のコンデンサ(8月18日号)
2003年に評価が高かった記事 BEST 3
  1. なぜPSXを7万9800円にできるのか(12月22日号)
  2. 2画面ケータイの特許成立,回避策はあるのか(4月28日号)
  3. 34万台を無償修理に陥れた,テレビの中のコンデンサ(8月18日号)

「読まれた記事」「評価が高かった記事」は読者アンケートの結果による

本記事は,2006年7月に発行した日経エレクトロニクス創刊35周年特別編集版「電子産業35年の軌跡」から転載しました。内容は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります

―― 【次回】2004年:SED ――